「睡眠負債」という言葉を見聞きされている方もちらほらいると思う。中には他人ごとのように思っている方もいるかもしれない。しかしこの「睡眠負債」は、私たちの生活に強く関わっている。というのも人間には生きるための必要な要素の一つとして「睡眠」がある。その睡眠が仕事などの関係により、なかなか得られないといった事情が発生することもあり、その影響により、生活リズムが乱れ、病気にもなってしまう引き金にもなる。
その「睡眠負債」の実態とはどのようなものであり、その負債を完済するためにはどうしたら良いか、本書は取材を通しての傾向と対策を提示している。
第1章「睡眠負債の脅威――「大調査!」で明らかになった日本人の睡眠負債」
きちんと寝ているはずが、通勤時間や仕事中につい、うとうとしてしまうp.16より
といった状況に陥る方はいるかもしれない。実は私も過去、その一人になったことがある。実はこれが「睡眠負債」の要因の一つで有、認知症やガン細胞の増殖の要因にもなっている。本章ではNHKが多くの人にリスクに関してのアンケートを取ると行った大調査を行った。その結果を取り上げている。
第2章「減り続けている日本人の睡眠時間」
人それぞれ睡眠体質は異なるのは言うまでもないのだが、自分自身の体質に合った睡眠を行えておらず、睡眠不足に陥る方々が少なくない。そのために「睡眠時間が減り続けている」という要因にもなる。睡眠不足・睡眠負債は経済活動にも悪影響を及ぼしており、生産性の低下による経済損失も本章にて算出されている。
第3章「睡眠負債と日常生活――寝不足がもたらす重大事故のリスク」
睡眠負債による生産性の低下もあるがここ最近では居眠り運転や居眠り作業といったことが重大事故につながるケースもある。この「居眠り」もまた睡眠負債との因果関係がある。
第4章「命にかかわる睡眠負債――高まる認知症・がんのリスク」
睡眠負債は認知症やガンの引き金にもなる。睡眠の量に限らず、質を疎かにすると、睡眠によってのガン細胞の増殖やアミロイドβの蓄積といった要因にもなる。
第5章「しっかり眠って生産性UP!――企業で始まった睡眠負債対策」
会社によっては「健康経営」をうたう所もある。その「健康」をいかにするか、運動にしても食事にしても方法があるのだが、そのほかにも「睡眠」の対策もまた健康経営の取り組みとしてある。特に企業によっては昼寝を推奨しているところもあれば、睡眠時間を確保するような奨励を出すといった動きもある。
第6章「睡眠負債はこうすれば返せる!――快適な睡眠のための極意」
単純に睡眠を長く行えば良いというわけでは無い。特に週末にずっと寝ているという、いわゆる過度な「寝溜め」を行ってしまうとかえって逆効果となってしまうため、過度な寝溜めはダメである。ではどのように寝溜めを行えば良いか、平日との差を「1時間」の差をつけることが大切であるという。
第7章「睡眠の疑問すべて解決!」
睡眠負債を抑えるには睡眠時間を長く取るというわけではない、ノンレム睡眠・レム睡眠といった寝付きの良さや睡眠自体の深さの「質」もまた睡眠負債がたまるかどうかに関わってくる。ちなみに本章では睡眠時間に関しての様々な疑問に答えている。
「睡眠負債」は私に取って耳の痛い話である。仕事をしている身であるため睡眠時間については気をつかっていたのだが、それでも寝不足になったり、すぐ疲れたりするようなことがある。そのため先日スマートウォッチを購入して、どのような睡眠リズムなのかを測るようにしたのだが、睡眠時間もさることながら睡眠の「質」が低かったことにビックリした。そのためどのように寝付きを良くするか、試行錯誤を繰り返しているところである。もしいくら寝ていても睡眠不足になると感じる方がいれば、本書を手に取って対策を行うと良い。
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