きみの傷跡

人には誰しも「傷」を持っている。それは外傷といった目に見える傷もあれば、誰にも見えずに苦しむ、いわゆる「心の傷」も存在する。

特に本書は男性は女性に受けた、一方の女性は男性に受けた「傷」があった。傷の舐め合いと言った言葉があり、本書も見ようによってはその類いが会っているように見える。しかしながら、お互いの「傷」が2人の出会い、そして邂逅を通して、だんだんと言えていくように見えた。

「傷」の度合いからすると、女性の方が強いものであり、男性のところは「境遇」の面であり、どちらかというと軽いかも知れないが、お互いの傷がわからないときのぎこちなさはまさに「初恋」もしくは「初恋愛」そのものをそっくりと映し出している。もちろんやったことのない恋愛のため、お互いに不器用なものがあったが、その「不器用さ」が甘酸っぱさを醸し出してくれる。傷といった暗い要素もあるが、それ以上に甘酸っぱさが強かった一冊であった。