壺の中にはなにもない

「日常」と呼ばれる毎日の中には「非日常」と呼ばれるようなことも往々にして起こる。本書の主人公である若者の男性もまた、のんびりと過ごす日常の中に、非日常が生まれ、世の中の変化に巻き込まれる。

その中には「初恋」と呼ばれるようなことに出会うこともあれば、マイペースであるが故に、ある人物は引き込まれた。陶芸家である祖父である。その祖父は陶芸家であるが故に壺を作るのだが、そのできたばかりの壺の中には何も入っていない。入っていないからでこそ、営業として謎の商品を販売しては妙に売れていくという。

その主人公も祖父が行っている「陶芸」の才能があり、祖父も継がせようとしたのだが、なかなかうまく行かない。しかし主人公は先述の謎からある「おかしさ」が芽生えるようになった。しかし「おかしさ」が起点となり、壺の中のように空っぽだった感情が一気にうまれる溢れるようになった。

興味を持ち始めると止まらないのだが、そこまで行くのにはどうしても時間がかかってしまう。そのことをまざまざと知ることになった一冊であった。

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