比例区は「悪魔」と書くのだ、人間ども

本書の著者は元お笑い芸人で「セーフティ番頭」でコンビを組んでいた。かつて存在した「爆笑オンエアバトル」でも出演したことがあるのだが、2010年にコンビを解消、そして職を転々としながら、2014年に作家としてデビューし、そのデビュー作である「神様の裏の顔」で「第34回横溝正史ミステリ大賞」を受賞し、現在に至っている。

本書の話に入るが、本書は少し形の異なる短編集である。なぜ「形の異なる」と書いたのかというと、短編小説が表題作を含めて6編、短編よりもさらに短い「ショートショート」の小説を6編の計12編取り上げている。

元々著者はお笑いの台本を数多く書いていたこともあってか、笑いを取りながら物語を描いている。その「笑い」のありようも、どことなくエッジが利いており、表題作は選挙制度や政党に関しての風刺もあれば、「日本今ばなし 金の斧 銀の斧」は実際にある童話をいきなり、

私の担当する池に、斧が落ちてきたp.6より

と言う所から始まるため、思わず「なんだこれは!?」と笑ってしまうような作りになっている所が魅力的である。どの編を見てもサクサクと読みやすく、なおかつ笑いもしっかりと取れているため、気構えせずに読むことができる一冊である。

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