タマネギとニンニクの歴史

メインになるようではない食材であるのだが、欠かさない要素となるものもある。それは本書で紹介する「タマネギ」と「ニンニク」である。料理をする際の材料の一つでもありながらも、伝承でも使われることのある2つはどのように誕生し、歴史を辿っていったのか、そのことを追っているのが本書である。

第1章「古代のアリウム属」
タマネギもニンニクも歴史は相当深く、古代メソポタミアや古代エジプトの時代にまで遡る。スープなどで使われただけでなく、古代エジプトでは「王の宝珠」として重宝されたと言われている。

第2章「中世のタマネギ」
中世になるとニンニクとタマネギは縁が深かった。もっとも貴族のみならず、階級的にも下の人たちにも親しまれたほどである。また当時としての栽培方法はもちろんのこと、タマネギから派生した食べもの誕生に至るまで取り上げている。、

第3章「旅、交易、民間伝承」
タマネギやニンニクは香辛料などと同じく中世~近世にかけて交易の品物として使われ、料理なども含めて旅をすることとなった。またタマネギやニンニクにまつわる伝承も中世あたりからつくられるようになった。

第4章「タマネギの改良」
今でこそ当たり前に行われている「品種改良」はタマネギは18~19世紀頃から行われはじめた。ちょうどその頃は「農業革命」が行われた時代である。このときの「改良」は味を良くするためと言うよりも「大量生産をする」ことに重点を置き、なおかつタマネギの用途を広めて消費を増やすといったことが中心だった。

第5章「現代のアリウム属」
本書で紹介されている「タマネギ」や「ニンニク」は「アリウム属」と呼ばれる種類である。日本でもよく使われる長ネギもまた同じように分類される。そのアリウム属はタマネギ、ニンニク、長ネギ、リーキなどがどのような貿易が行われ、食文化に根付いているのかを取り上げている。

料理としても欠かせないものであるのだが、表舞台に出てくることがほとんどないタマネギやニンニクだが、歴史はかなり深いものであり、なおかつ食文化の支えとしては重要な役割を担っていることが良く分かる一冊であった。