今し方の時期だと怪談はシーズンとは言えないかも知れない。しかし怪談好きの方々であれば季節問わずして興味深くご覧になる方も少なくない。
ちなみに本書は怪談のシリーズとしてある「怪談飯屋古狸」の第3弾でもあり、本作で完結となるものである。
江戸時代に一風変わった飯屋があった。その飯屋は怪談を聞かせる、あるいは怖い場所に行き、体験を行うと、無料になるという飯屋である。そこから出てきた怪談や体験談、依頼事などが盛り込まれた短編集である。
たしかに物語の中では背筋が寒くなるようなものも少なくないが、会談の中にはほのかに「優しさ」も漂っている。そのため、怖がらせるような階段だけでなく、大切さを教えてくれるようなハートフルな側面も持っており、単なる「怪談」とは言い切れない面白さがある一冊である。
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輪渡 颯介 講談社 2020年11月11日頃
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