もしも「生」と「死」の間に「狭間」と呼ばれる世界があり、その世界の中に放り込まれたとしたらあなたはどうするか。生と死の狭間というとけっこう哲学・宗教的な観点から議論が絶えず、本当にそれを見たのかどうか出さえも発言する人によって分かれる。ただでさえ存在する・しないと言う議論も絶えないのだが、おそらく結論すら出てこないと言うほかない。
さて本書はその狭間で男女2人だけになった時に、独特の静寂の中でどう過ごすのか、そして待ち受ける「死」に向けてどう迎えるのかを描いた一冊である。
生と死の狭間の世界はある種の「ディストピア」と呼ばれる世界であり、なおかつ建物があるにもかかわらず、無人島のような生活のように見える。しかし生と死の狭間に居るからでこそ、「生」とは何か、「死」とは何か、そのことを考えさせられる物語であった。
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行成 薫 集英社 2021年09月24日頃
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