ごみ収集とまちづくり 清掃の現場から考える地方自治

ほぼ毎日のようにくるゴミ収集の日。そして市区町村の収集作業と言ったものは日常の風景としてある。また特に会社勤めの方であれば、ここ最近ではテレワーク・在宅勤務で会社に行くことは少なくなってはきているものの、会社に来ると清掃員が、会社の中を清掃するといった光景を目にして、清掃員に挨拶を行うこともあることだろう。

本書はこのごみ収集と地方自治についてであるが、よく知られているのだがごみ収集は主に市区町村の自治体が主導して行われる事がほとんどである。ごみ収集をはじめとした清掃事業と、昨年からずっと続いている新型コロナウイルスの影響について取り上げているのが本書である。

第1章「大都市の清掃事業」

本章では東京都北区における清掃事業を事例として取り上げている。ごみの収集・処理・処分をどうしていくかといった大まかな流れから、東京都北区独自で行われている事などを事細かに記している。

第2章「清掃の現場」

本章では2020年末~2021年の初頭にかけて何度か戸別収集などのごみ収集、および清掃作業を行った事を綴っている。実際に収集作業を行ったこと、さらには関係各所との打ち合わせや実態といったものがありありと示されている。

第3章「行政改革と今後の清掃事業」

ごみ収集に限らず、地方自治体の行政改革は進んでいる。その要因としては高齢化はもちろんのこと、職員の減少なども要因として挙げられる。それ以外にも財政難など様々な要因があるのだが、その行政改革からごみ収集をはじめとした清掃事業にどのような影響を及ぼすのかを取り上げている。

第4章「コロナと清掃行政」

新型コロナウイルスの感染拡大は昨年の初頭から起きていたのだが、その中で清掃業についても暗い影を落とした。それは清掃員の感染はもちろんのこと、次章でも述べるのだが、清掃員に対しての被害もあった。特に本章では前者の清掃員の感染が拡大し「クラスター」になった実態を取り上げている。もっともこちらは清掃業者に限らず、郵便でもクラスターにより滞ってしまうケースも実際にあった。

第5章「感謝の手紙と清掃差別」

清掃事業は欠かせないインフラであることは間違いない。しかしながら、コロナ禍により市区町村民から心ない言葉、さらには攻撃にさらされてきた。そのことにより心的な被害を被ることもあった一方で、清掃事業者への感謝の手紙が届くと行った心温まることもあった。

第6章「清掃現場と女性の活躍」

清掃事業は決して男性だけがなるというわけではない。女性もまたその事業を行っている方も少なくない。本章ではその女性の方々と現場について取り上げている。

第7章「住民参加と協働による繁華街の美化」

場所によっては地域と連携して美化活動を進めている所も少なくない。本章では新宿二丁目と呼ばれる大繁華街の美化運動のケースを取り上げている。

第8章「事業系廃棄物と産業廃棄物業界のDX」

会社・事業ではDX(デジタルトランスフォーメーション)化の動きは積極的にある。その中で廃棄物処理事業ではどのようなDX化を進めていったのか、そのことについて取り上げている。

ごみ収集はわたしたちの生活になくてはならないものである。そのなくてはならないものもまた「変化」が求められ、実際に変化をしているのだが、その実態とこれからが良くわかる一冊と言える。