介護入門―親の老後にいくらかかるか?

超高齢社会であると共に、介護の需要と重要性が高まってきている。しかし介護の現場は「老老介護」「介護殺人」「介護自殺」と呼ばれる程、物騒な事件が後を絶たない。介護保険についても1997年に成立・施行され、2005年に一度改正されてからはほとんど改善できていない状況にある。

本書は「介護」の事について語る入門書、と言うよりも「介護問題」とはいったいどのようなものかを解説する「入門書」と呼ばれる一冊である。

第一章「介護保険を使うには」
「介護保険」は障害の度合いによって「要介護認定」もしくは「要支援認定」と言ったランク付けをするもの、あるいはそれによって給付すること、介護施設のあり方など介護にまつわる法律なのだが、この法律を知る・知らないではサービスを利用できるかどうかが大きく違ってくる。

第二章「いくらかかるの? 介護の値段」
介護サービスを受けるには、一回当り、もしくは毎月の費用が生じる。身体介護や生活扶助をする際に、どのようなものが必要なのかと言うのを示している。
一見見てみると1回当りはそれほどでもないのだが、これが毎日、毎月、毎年と連なっていくと費用はかなりの物になる。

第三章「どこまでが介護、どこからが医療?」
「介護」と「医療」の線引きは難しい。在宅にしても、医療・介護機関にしても現場でどっちにするのか、と言う判断をするのだが、看護師がそれを担う。しかし、昨今の医療現場では看護師が不足しており、線引きの判断ができる人が少ない状態にある。

第四章「認知症をともなう介護」
介護や医療の中で最も難しいものの一つとして「認知症」が挙げられる。認知症の医療と介護は他の病気とは違い、振る舞いや「空間」に至るまで患者のペースに合わせなければならず、看護師・介護士はもちろんのこと、家族にも大きな負担がかかる。

第五章「あなたを介護する人はどこにいる?」
介護業界も、他の業界と同じく高齢化が進んでいくが、介護の仕事は「やりがい」や「充実感」はあるが、現状として患者それぞれの状況を把握する事が不可欠であるため、続ける事自体も容易ではなく、年収も、雇用状況も悪化の一途を辿っている。

日本における介護はどこに行くのだろうか、それはこれからの政治がどこに行くのかも含めて見ていく必要がある。その上で、今介護の状況はどのようなのかを知る上で「入門」と言う形で見るのは本書がふさわしいと言える。