時は弥生時代、卑弥呼と呼ばれる女性が当時の倭国の女王として君臨をした。本書はその卑弥呼が即位する前の時代から始まる。登美毘古と呼ばれる男性の王が即位して長らく安泰であったのだが、その時代もやがて終わりを迎える。実弟が何者かに殺害され、そこから戦いが繰り広げられた。その戦いは新たな国を建てるための戦争であり、戦争により多くの血が流れることが長らく続いた。
大王登美毘古は王家の血を絶やさないために一人娘に託すようになる。その一人娘こそ後の卑弥呼であり、苛酷な運命を背負うこととなる。
弱気ものを救うのか、民草を皆殺しにすべきか、その選択を迫られ、かつ新しい国家を生み出すというスケールの大きい物語であるのだが、古代史を舞台にした小説自体が珍しく、ちょうど中国大陸では三国志とよばれる時代であるだけに、その中での日本の戦いがどうであったのかという切り口は斬新であり、なおかつロマン溢れる一冊と言える。
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