建築の有りようは日々刻々と変化している。大きな流れで言うと本書で言うところの「共感」や「時間」といった要素が多くある。しかし建築において、どのような「共感」を持つべきなのか、あるいはどのような「時間」の流れを持たせるべきなのか、そのことについて取り上げているのが本書である。
第1章「「EN」から「en」へ」
文字だけで見たら、単純に大文字から小文字へと変わっていっただけの印象であるが、建築の世界では大文字から小文字に変わる要因として建物、さらには部屋の内装に至るまでの所に意味を持っている。近所の地域を含めた「EN(縁)」から、家族の中でこじんまりとした所の「en(縁)」といった変化がある。
第2章「細粒都市と民兵」
本章ではマクロに「都市計画」のありようについて取り上げている。それぞれの都市には住宅や商業、工業における立地などの「都市計画」があるのだが、そもそも都市計画に関して、建築的にどのような意味を持っているのか、その意味を持ち合わせていない都市が多いことを主張している。
第3章「ディスカッション en[縁]―アート・オブ・ネクサス、その先へ」
第二次世界大戦以降、建築デザインはどのように変化していったのかについて著者の方々が議論を行っている。そもそも第二次世界大戦が終焉してから76年の時を経ているため、多かれ少なかれ「デザイン」のあり方、技術なども大きく変わっているが、その大きな流れがいかほどであるかはなかなかわからない部分と言える。本章では議論を通してそこの部分も解き明かしている。
第4章「空間から共感へ」
建物と言っても住宅ばかりではなく、施設における「内装」をいかにして「共感」できる空間をつくるかといった所にもシフトしている。内装がキレイと言うだけでなく、配置から壁、天井、照明などのものが何のために存在し、なおかつどこに「共感」を呼び寄せるのか、アートの側面になってきており、実際に使う人々にはわからないかも知れないが、実は内装の良し悪しによっていつの間にか「共感」してしまうといった要因もある。
第5章「共感・時間・建築」
建物の空間には色々な可能性を秘めている。私もそうであるのだが、勉強や仕事に集中できる空間かどうか、と言うことを考えることがあるのかもしれない。実際に内装をどうするか、レイアウトやインテリアを考えて、変えていくと言ったことを行う方々もいる。本章では建築の世界から共感や時間をどうつくるか、そのまとめの部分を取り上げている。
本書は建築に関しての専門書であるため、とっつきにくい部分はあるのだが、建築に限らず、建物の中の「内装」の部分における「共感」や「時間」も取り上げられているため、私たちの生活の中で役立てられるところも少なからずある。
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