アンチ整理術

よく本屋に行くとビジネス書の界隈では「整理術」といった本が数多くある。かくいう私も整理が苦手なので、整理術の本を購入して実践する日々である。特にこの時期になると大掃除でもあるため、来年のスタートダッシュに向けて整理を行うという方々も少なくない。

そのような「整理」の風潮に対して、本書の著者は異を唱えている。散らかっていても底に意味があり、なおかつ作業を進めることができれば正解じゃないかと主張している。その理由などを本書にて綴っている。

第1章「整理・整頓は何故必要か」

ビジネス書に限らず、学校や会社によっても整理整頓を是としているところがほとんどであるのだが、著者にとってみれば「自己満足」などの精神的な効果でしかなく、なおかつ散らかること自体は自然的なものであると主張している。

第2章「環境が作業性に与える影響」

仕事にしても、作業にしても、「環境」の面の影響はかなり大きい。特に著者の書斎は好きなものと書類で多く埋められているのだが、その埋まっている状況でも善い影響を与えることができると言う。ものを探す際に、時間がかかったり、なかなか見つからなかったりする感情もまた作品を想像するための糧にもなるという。

第3章「思考に必要な整理」

もちろん「整理」を完全に否定するわけではない。必要な「整理」も存在する。その一つとして本章では、インプット・アウトプットを行う中で出てくる「思考」の整理をどうしていくかを取り上げている。

第4章「人間関係に必要な整理」

人間関係は時として「整理」を行っていく必要がある。もちろん重要な人などは残しておくべきだが、人間関係も日々刻々と立場・状況などで変化が生じてくる。その中で断捨離などの整理を行っていくタイミングなどを取り上げている。

第5章「自分自身の整理・整頓を」

「身辺整理」というと、ある意味「終活」のように思えてならないのだが、自分自身の考えやビジョン、さらには理想・現実のギャップなど、自分自身にて抱えている問題や要素などを「整理」する事も大切であるという。

第6章「本書の編集者との問答」

本章では閑話休題として、著者と編集者との対談を余すところなく取り上げている。もっとも編集者自身と著者との距離はもちろんのこと、著者が持っている「整理」と編集者が持っている「整理」が異なっており、どのように異なっているのか、そしてその差異を埋めるべきかどうかなども取り上げている。

第7章「創作における整理術」

「創作」となるとどうしてもものができてしまうのだが、創作をするに当たっての「整理」もまた大切な要素であるという。どこの部分にて「整理」を行っていくかなどを取り上げている。

第8章「整理が必要な環境とは」

とはいえ、整理が必要というわけではなく、著者自身部屋は散らかりっぱなしと自白している。とはいえゴミ屋敷でも、魔窟というわけではない。ある程度は散らかっていても、完全に整理はせず、最低限の部分だけは行っている。それは環境や自分自身の思考などの「整理」である。

もちろん私も部屋の片付けは行うのだが、整理はけっこう苦手な部類に入る。もちろん整理することによって思考なども整えられるのだが、「整理しすぎる」ことによって、ある種神経質に陥ってしまうリスクもある。一時整理に凝ってやり過ぎてしまったあまり、几帳面が過ぎることがあった。それを予防するためにある程度散らかしている部分もある(あくまで自己弁護だが)。整理をすることも大切だが、整理しないこともまた一つなのではないだろうか。

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