エミリの小さな包丁

仕事・恋愛・お金と全て失った女性が、母方の祖父母夫婦に手を差し伸べてくれて、田舎に引っ越すことになった。女性は傷心もあれば、田舎の環境になじめず、戸惑いもあったのだが、祖父母夫婦がつくる料理に触れ、自らも料理をつくることによって癒やされるという物語である。

しかし田舎の環境、そして祖父母夫婦がつくる料理には、その環境でしか味わえない味と愛情がぎっしりと詰まっているようでならなかった。また料理には身体の栄養ばかりではなく、心の栄養も満たしてくれるものであることも知らせてくれる。本書は料理もあるが、先述のように田舎の環境の中での「人のふれあい」、さらには祖父母夫婦の愛情もまた料理のスパイスとなって、女性を立ち直る大きなきっかけとなる。その心情もありありと表されており、こちらの心も満たされるような気がしてならなかった。

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