最後の審判-終末思想で読み解くキリスト教

ミケランジェロ・ブオナローティの代表的な絵画に「最後の審判」がある。現在はバチカン市国にあるバチカン宮殿のシスティーナ礼拝堂の祭壇に描かれている。この「最後の審判」はキリスト教における「終末論」の考えにあり、「怒りの日」と同義に扱われている。

もっとも「最後の審判」の考え方はキリスト教のみならずユダヤ教・イスラム教・ゾロアスター教にも同様の考え方があるのだが、本書はあくまでキリスト教における「最後の審判」はどのような思想なのかを紐解いている。

第Ⅰ章「あの世の地勢図」

人が死んだときに「あの世」に行くと言うようなものがあるが、その「あの世」の考え方も宗教によって異なる。仏教においては「輪廻転生」が一つの考えとしてあり、天国と地獄といった世界があることもまた宗教によってある。その中でキリスト教における「あの世」はイタリアの詩人ダンテ・アリギエーリの「神曲」や、地獄に限るとボッティチェッリの「地獄の図」などが挙げられる。

第Ⅱ章「裁きと正義」

そもそも「最後の審判」は「審判」という名がある通り、「裁き」がある。ではどのように裁かれるのか。そして誰が裁くのかを取り上げている。

第Ⅲ章「罪と罰」

キリスト教には「原罪」が根底にある。人は生まれながらにして罪を持って生きるというものであるが、その「原罪」の解釈についても学者・聖職者などの間で異なる。本章では異端・殉教なども絡めて論じている。

第Ⅳ章「復活」

そしてキリスト教における要素として「復活」がある。「最後の審判」の絵画における「復活」はどのような「復活」定義していたのか、肉体・精神も絡めて取り上げている。

「最後の審判」を表現した絵画は冒頭で取り上げたミケランジェロの他にも複数人いる。その複数人の「最後の審判」はいずれもキリスト教における「最後の審判」をモチーフにしているが、「解釈」の違いによって描くタッチも異なっている。どのような解釈があったのか、そして「聖書」を始めとした文献や、様々な絵画をもって最後の審判はどのように解釈されたのかを紐解いており、面白味のある一冊であった。

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