考えすぎ人間へ―ラクに行動できないあなたのために

「考える」事が重宝される中で「考えすぎてしまう」人もいる。中には考え込んでしまい、心の病に冒される人も少なくない。そもそもどうして「考えすぎてしまうのか」、そして「考えすぎないように生きる」ためにはどうしたら良いのか。本書は今から18年前に逝去した作家・遠藤周作が生き方について説いている。なお、本書は元々1990年に書かれたエッセイを復刻した一冊で在る。

1.「アイツにはないがオレにはある」
本章のタイトルの意味は「持っている物」であったり、「能力」であったり、「価値観」であったりと様々である。しかし「ない」事をずっと考えて精神的に病むよりも、自分にしかないものを誇ってプラスに考える事の方が良いと言うことである。「病は気から」と言う言葉の通りマイナスに考える事よりも、プラスに考えた方が良いと言うことを本章では説いている。

2.「なりたい自分に簡単になれる」
なりたい自分になるためには、方法にもよるが「なりたい」と言うことを強く思う事が挙げられるのだが、本章ではそれだけのことを述べているだけではない。最低限の礼儀作法などを身につける事によって簡単になれるのだという。

3.「自分の頭においていかれる恐さ」
考えていると行動の2倍も3倍も速い。しかしそれが行動に結びつくのかは人それぞれである。もっとも頭ばかり考えてしまい、行動に結びついていないと、本章のタイトルのように「おいていかれる」ような状況になってしまう。それを防止するためにどうしたら良いのか、そのことについて行動力と抑止力のバランスなどを取り上げている。

4.「女はあなたのそれにくらくらする」
男性にとって女性に対してくらくらするような「魅力」とは何か、もしも女性の読者であれば「男はあなたのそれにくらくらする」と置き換えて女性として魅力は何なのかを説いている。相手を知ることも大事だが「知りすぎない」事を心がけつつ、異性の恐さを知りつつ、「我慢」のあり方についても取り上げている。

5.「これであなたはケタ違いになる」
何をどのように「ケタ違い」になるのかが疑問に思ったのだが、本章では「男」として「ケタ違い」になる事、「人間」として「ケタ違い」になる事を取り上げている。ただ本章ではビジネスマンとしてよりも、「面白い人間」「度量のある人間」「器の大きい人間」と言った意味で「ケタ違い」になるための章である。

著者は約74年の人生はまさに「作家」として歩んだ人生だった。その人生の中で留学し、大病も体験し、いたずらを行い(元々無類のいたずら好きだった)、本当の意味で「様々」な体験を行った結晶がここに詰まっていると言っても過言ではない。ありとあらゆる体験が詰まっているからでこそ、巷にあるようなエッセイ本とは一味違うと言える一冊である。

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