国民ID制度が日本を救う


今年の10月1日から「マイナンバー法(行政手続における特定の個人を識別するための番号の利用等に関する法律)」に基づく「マイナンバー(個人番号)」の通知が開始され、2016年の1月から適用されることになった。このことで納税や給与に関して一元的に管理ができるようになるのだが、この制度がどこまで有効的に活用できるのか、それは未知数というほかない。

そのきっかけとなったのが「消えた年金」や「役所たらい回し」といったことが挙げられる。そのことがきっかけとなり本書が出てきたといえる。マイナンバーの原型かどうかは不明なのだが、なぜ国民ID制度が必要なのか、そのメリットについて取り上げたのが本書である。

第1章「あたりまえのことができていない国」
国としての「あたりまえのこと」とは何か、本章では、

・身分証明
・生存
・社会保障

などが挙げられるのだが、そのいずれもできているのかというとそうではない。義務になっているものがないものもあれば、憲法で保障されているにも関わらずできていないようなものまである。

第2章「国民ID制度は世界の常識」
そもそもマイナンバーは世界的に扱われているかというと、本章のタイトルにあるように「世界の常識」であるという。その一例としてエストニア、スウェーデン、デンマーク、スロベニア、オーストリア、アメリカ、韓国などを引き合いに出している。
日本で施行されるマイナンバーでは社会保障、税、災害対策のために使われる予定だが、国によっては入試や医療、投票などでもマイナンバーを利用しているという。

第3章「IT戦略の「失われた10年」」
ITの隆盛により、政府でも「電子政府」「電子行政」の動きがあったのかというと、ないわけではなかったのだが、具体像が示されておらず、足踏み状態が長らく続いた。そのことからバブル崩壊以降の状況になぞらえ「失われた10年」としている。

第4章「国民IDの不在が生み出す深刻な問題」
そもそも「国民ID」や「マイナンバー」がないとどのような弊害が起こるのか。その弊害として大きなものが「戸籍」である。東日本大震災により宮城・岩手の両県で戸籍情報が流出した出来事があったのだが、実際には法制局の複写データによって回復したという。しかしそれは昨年分の古いデータなので最新には反映されていなかったという話である。
この出来事について2点違和感が出てくる。一つは「データの一元管理ができていたか?」、もう一つは「なぜ同じデータなのに保存しているデータの時期がバラバラなのか?」というところである。そこに第4章にある「国民ID不在の弊害」がある。

第5章「行政システムを一気に変える起爆剤」
ここでは「国民ID制度」がスタートしたことを仮定して、どのように行政システムが変化するのかを取り上げている。そのメリットについて「介護」「医療」「年金」「納税」などあらゆる観点から取り上げている。

第6章「情報漏洩はこうして防ぐ」
「国民ID」を導入することで変化するのはわかるが、本章のように情報漏洩を防ぐには違和感があった。なぜかというと「国民ID」を導入することであらゆるデータが一元管理できるのだが、その情報が漏えいしてしまう可能性があり、なおかつ導入することで情報漏洩が防止できる接点が見えないからである。
そこで本章では情報漏洩防止も一元管理ができ、一転集中という形でより強固なセキュリティを構築することができること、さらにアクセス記録やIC・IDカードの発行によってセキュリティが担保されるという。
わからなくもないが、マイナンバーにしても「国民ID」にしてもネックになるところであるが、個人的にここでの言及が弱いように感じる。一元管理ができるメリットもあるのだが、セキュリティをどうするのかという具体的な図が出てこなかった。

第7章「便利で公平で安心な社会を目指して」
国民IDの導入によって社会的にも「効率的」に管理できるようになり、無駄も減らすことができるという。ほかにも新しいサービスを開拓することができるなど、行政改革の一端を担うことができるという。

最初にも書いたのだが、「国民ID制度」と同じかどうかは不明だが来年から「マイナンバー」がスタートする。そのマイナンバーが行政において、どのようなメリットをもたらすのか、そして実際にどのようなリスクを負うのか、まだ未知数といえる。その未知数であるマイナンバーはどうなるのかそれは来年になってみないとわからない。

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