使う力 知識とスキルを結果につなげる

最近私のブログでも、ほかの書評ブログでも成功本や戦略本の書評がよく書かれている。それだけ成功者の作法を学んでいきたいという表れであろう。

しかし、その価値というのは実際に実行してみないと分からないものが多い。
ではどのようにその得た知識を使えばいいのかというのを紹介したのが本書である。

第1章ではビジネスリーダーの基本要件であるが、ここでは「使う力の位置付け」を定義している。ビジネスリーダーとしての基本要件は、

1.人間力
2.業界・社内常識
3.経営知識
4.「使う力」

の4つである。
ここでいう人間力は正しい決断により組織を動かし結果を残していく力、その業界で生きていく上での常識、そして車の両輪の如く経営知識と「使う力」があるという。本書ではこの経営知識を将棋の定跡や囲碁の定石に喩えている。それを知ることによってどのように「使う」のかというのを身につけるというわけである。

第2章ではこの「使う力」とは何かについて書かれている。私もこのブログを通じて様々な知識を身につけてきた(この中で使えるものは5%あるかないかだが)。いざ「使う」となると何から使えばいいのか分からなくなる。されどのように「使う」のだろうかというと最初に出てくるのは落語である。

私も落語は好きで書評に行き詰った時によく聞く。最近ではどっと笑いたいもので上方落語で非常に有名な桂枝雀のCDをよく聞く(ちなみに最も好きな演目は「つる」)。少し脱線してしまったが落語をやるにあたり当然演目を覚えていかないといけない。しかし演目を覚えて棒読みするようであったらだれでもできる。当然その背景や役柄になりきってより忠実に表現しなければならない。

同じ演目でも落語家(私は「噺家」と言っている)それぞれで違う。一人一人がどのような落語をやるのかというのはまさに十人十色である。これが落語である。本書はそれが「使う力」と密接に関係するという。「使う力」というのは簡単に言うと蓄えた知識を実行するための力であるが、本書では3つの必要条件に書かれているが自分の立場によって、使う力というのは違ってくる。適材適所で使うことにより得た知識を体系的におぼえ、そして「知恵」にしていく。

第3・4章ではその「使う力」を様々な場合に応じてどのように得ていくのかというのが書かれている。ここで紹介するよりもむしろ本書を購入したほうが具体的な方法が身につくと思うのでそちらのほうが手っ取り早い。

そして第5章では「使う力」というよりも仕事を楽しめと説いている。仕事や勉学では「苦しみぬきながら努力する」というイメージが強い。しかしそれは虚構であると著者主張している。それについては私は反対しないが、成功するのは人それぞれであり固定観念として植えつけられた「苦しんで成功する」人もいれば「楽しんで成功している人もいる」ということは忘れてほしくない。

そしてもうひとつ勉強を楽しむための方法についてだが、勉強はやはり楽しいほうがいい。苦しむばかりが勉強でもないし、「知るを楽しむ」ことこそ真の勉強であり、教養であると私は思う。それによってリーダーになったり、それで実践を通して成功していけばなおいい。それこそ「充実した社会人」の一つの方法ではないだろうか。