仕事はストーリーで動かそう

昨年のパーティーにおいて名刺交換をした方であり、右のリンクにも張った川上徹也氏の1冊が本書である。

タイトルに惚れたというのが本書を読む前の印象であった。中身を読んでもその期待を裏切ることなく「ストーリー」というのを一貫したものとなっている。ちなみに本書を上梓した時からすでに川上氏のストーリーは始まっており、それは現在でも続いている。本書は「3幕」構成となっている。劇構成というべきだろうか。

第1幕「なぜ、今、“仕事にストーリー”なのか?」
まず最初に出てきたのがこれである。

「ロジックやデータだけでは人は動かない」(p.18より)

「ロジック・データ至上主義」となっている。当然ロジックやデータを示すと説得力というのは格段に違うのは事実である。だがこれで人が動くのかというのは別の話である。ストーリーはロジックに比べて説得力はないが人は動くことができる。また解釈も多面的にできるというメリットもある。またストーリーは人は誰もが好きなものであり、たとえば日本人からしてみれば高校野球の筋書きのないドラマもまたストーリーである。ではストーリーを使うメリットとは一体何なのか。

・興味が持てる
・感情が動く
・記憶に残る

誰もがこういったことについて詳しく聞きたがる人も出てきており何より印象が強いため、記憶に残りやすいメリットがある。

・差別化できる
・共感できる
・感情移入できる
・イメージが共有できる
・口コミが広がる
・伝説になる

最後はさすがにそうなのかと疑いたくなるが、残りの8つのメリットは共感できる。最後にはストーリーの書き方も紹介されている。

第2幕「こんなストーリーが人の心をつかんだ!」
ここでは実例を紹介している。
まずはボルヴィック「1ℓ for 10ℓ」、パイク・プレイスの魚市場、松下幸之助の「水道哲学」…と紹介されているが、魚市場も水を使うことを考えたら全部「水」に関連しているのではと邪推する私。

第3幕「で、具体的にどうすればいいの?」
ストーリーをつくるには動かす相手が必要である。例えば上司や部下、取引先や消費者と言った人たちが挙げられるだろう。ストーリーを描くには自分がどのようなことを提供することによってお客様(得意先や消費者などがあるがここでは「お客様」に統一)に感銘を受け、共感し、乗り気にさせるにはどうすればいいのかというのが肝心であるという。
これを「ストーリーブランディング」についてどのようにしたらいいのかも取り上げられている。ブランディングに困った時には見ておいて損はない。

さて本書を上梓したこともストーリーであるが、このストーリーはまだ途中段階にある。右のリンクにあるとおり、本書が30万部売り上げるストーリーが進行中である。
この「ストーリー」が語り継がれる「伝説」となるよう私も祈っている。