大阪府大阪市西成区は日本最大の「ドヤ街」として有名である。中でも北部にある「あいりん地区(釜ヶ崎)」もあり、本当の意味で「様々な」人たちが住み、働いている場所である。そのドヤ街に著者が78日間生活したという記録が本書である。
第一章「ドヤ街生活のはじまり」
そもそも「ドヤ」とは何かというと「簡易宿泊所」の愛称であり、単純に「宿(やど)」を自嘲的に反対にしたことにある。大阪ではあいりん地区が有名だが、他にも横浜の寿町もまたドヤ街として有名である。著者は就職を辞めてフリーライターとして生きていくのだが、その最初の取材が西成だったという。西成にスーツで訪れるというのもなかなか風変わりであるのだが、その風変わりの姿の中で西成の人々と出会うことによって西成の空気を触れることとなった。
第二章「地下の世界“飯場”へ」
「飯場(はんば)」は今で言う所の土木工事や建設における作業員用の宿場である。求人で工事現場で仕事をすることとなったが、その中で飯場を体験することとなった。その飯場体験もまた西成生活に幅を持たせることとなった。
第三章「西成案内人」
西成の夜と朝を取り上げているのだが、「特殊」と呼ばれる西成の方々の中でもさらなる「特殊」さを持った方々が出てくる。
第四章「西成のドヤで働く」
西成に移ってからⅠヶ月以上たち、様々な場所で生活、仕事をすることとなった。しかもその生活の中には、法律に触れるような話まであり、西成の光と影がありありと映し出している。
第五章「西成の男たち」
西成には本当の意味で色々な人物がいる。その中でも著者が特に印象に残った3人を深く取り上げている。その3人は自分自身も想像し得ないような境遇に生き、西成に行き着いたと言った方が良いのかもしれない。
西成はまさに「様々」であるのだが、その言葉では全く片づけられないほどのエピソードが詰まっている。著者自身も78日間の生活後、関東に戻ったのだが、その西成の経験はどのような印象だったのか、そのことを体験と共に描かれていたのが印象的だった。
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