火山爆発に迫る―噴火メカニズムの解明と火山災害の軽減

今月の上旬に鹿児島にある桜島が爆発的噴火をした。小規模ではあるが頻繁に噴火しているという。直近の噴火というと2000年の有珠山での水蒸気爆発があり(私事ではあるがこれにより中学校の修学旅行のルートが変更された)、同年には三宅島で大規模な噴火が発生したことが印象的である。本書はこの火山爆発がどのようにして起こるのか、科学的な見地から分析を行っている。

第1章「観測から火山を知る」
火山の構造には様々なものがある。有珠山(昭和新山)のようにあまり頻発せず溶岩ドームができるほどのものもあれば、ハワイのキラウェア火山のように頻発で溶岩流というのが存在するものもある。噴火でも最初に述べたように有珠山の水蒸気爆発もあれば、三宅島の大噴火、桜島の小噴火まで噴火と一口にいっても様々な種類がある。
本章の最後には新しい火山観測機器として、火山探査移動ステーション「MOVE」というロボットがある。これは91年に雲仙普賢岳が噴火したことをきっかけに制作されたものである。具体的なデータは採られているものの、実用化されているのかは定かではない。

第2章「実験から噴火のメカニズムを知る」
爆発、噴火について高温高圧装置など様々なものを用いて実験を行っている。噴火は爆発する噴石や火山灰のみならず、有毒な火山性ガスも発生させる。ここでは噴火の仕方のみならずガスの噴出のされ方についても書かれている。

第3章「噴火現象のシミュレーション」
こちらはシミュレーターを用いて、噴火現象の予測を行っている。

第4章「火山災害と予測と軽減」
先ごろでは地震予測のために「緊急地震速報」が出てきた。2006年8月に緊急地震速報が導入されて2年半以上たち事例も出ているが、具体的にそれが役立てられているのかというとまだないが、導入が少ないことと、まだ誕生したばかりであるので未知数と言える。
本章では火山活動の予測についてどのようなことを行うべきなのかという重要性を政治的に提言している。火山活動は地震と違って火山性の地震が立て続けに起こって噴火や水蒸気爆発などが起こる。政府は火山活動について予想はいくつか行っており、最たるものでは国土交通省の「火山災害予測図(火山ハザードマップ)」というのがある。

本書は火山爆発について科学的にまとめたものなので、火山に関する研究を行っている方、もしくはそれに近い学問を専攻している方にしかわからないような用語や公式が数多く出てくるので数学アレルギーを持っている方などにはあまりお勧めできない。

日本は火山を多く有しており、過去に幾度も噴火に遭った国である。こう言った学者や政府がどこまで予測できるのかというのは未知数であるが、火山災害を最小限に食い止めようという動きは不可欠なものだろう。