鏡の向こうに落ちてみよう 有栖川有栖エッセイ集

ミステリー作家として有名な有栖川有栖のエッセイ集である。有栖川有栖の小説は読んだことがなく、彼の作品に触れるのはエッセイが初めてである。小説だとストーリーによって話を展開していくものであるが、エッセイはそれとは違い、著者自身の「体験」や「感想」、「思索」と言ったものが多くなる。それだけあって、著者自身の作風で日常や嗜好を愉しむことができ、かつあまり触れられることのない著者の意外な一面について触れる事ができる。

本書は主に台湾での体験談や自ら触れた作品の感想を綴っているが、著者自身のミステリー観を軸にしながら綴っている。自身の考えをあたかも「鏡」と喩え、そこから体験談を投影していっているように見える。

それがとりわけ際立っているのが阪神タイガーズの話題。著者の生まれ故郷をホームとしており、かつ著者の作品の舞台の多くが関西であるという。関西としての誇りか、関西人であることの誇りか、それを熱く、かつミステリアスの描写は何か引き込まれるものがあった。

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