「WHY型思考」が仕事を変える

昨年か一昨年のときに、日本を代表する自動車メーカー・トヨタがアメリカからリコールの嵐に巻き込まれた。しかしそこからトヨタは這い上がり現在でもトップを走っている。

その大きな根幹にあるのは「5回の「なぜ?」」が行われていることにある。その方法を使うことにより、原因究明を早く、かつより本質的になることで、問題解決のためのアクションを矢継ぎ早に打ち立てることができるようになったのだという。

しかし今の日本企業、ないしビジネスマンにはそういったものはあるのだろうかというと首を傾げてしまう。むしろ考えない「マニュアル人間」が多いのではないかとも考えられる。本書ではこれを「What病」ないし、「What型人間」と呼ばれている。本書はその「What型人間」を脱して「Why型人間」になるにはどうしたらよいかについてを伝授している。

第1章「イントロダクション」
「What型思考」と「Why型思考」の違いについて表している。現状維持か現状打破か、という違いもあれば過去の体験をどのように扱うか、による違いもある。

第2章「職場にはびこる「WhyなきWhat病」」
ここでは「What病」が蔓延している現状と具体例について紹介している。あくまで一例であるが、ビジネスマンであれば、今務められている会社をみて、当てはまるかどうかチェックすると自分の務めている企業が「Why型」か「What型」か、あるいは「What型」でもどのような社員がいるかがよくわかる。

第3章「Why型思考とは何か?」
「Why型思考」の概要についてまとめている。むしろ「Why」を使うことのメリットを紹介しているというべきかもしれない。

第4章「WhatとWhyを切り分ければ「世界が変わって見える」」
「Why型思考」と「常識」、さらに「クリエイティブ」がキーワードとなる。本章では「Why」と「What」のバランスにより「常識人」となるためにはどうすれば良いか、「クリエイティブ」になるためにはどうしたらよいのかについて書かれている。
しかし「常識」とは何か、あるいはなぜ「常識」が必要なのかがよくわからなかったところが残念である。

第5章「Why型思考のビジネスへの応用例」
問題解決本はいくつもあるのだが、もっとも多く使われているのは「Why型思考」である。本章では提案や営業などのケースを用いてビジネスでの問題解決にはどのように使われるのかを紹介している。

第6書「「そのままくん」の原点はWhat型教育にあり」
「What型思考」の大きな根幹となったのは「日本型教育」、「OJT」といった「教育」にあるのだという。私も中学2年の時に数式のことで「なぜ」と質問されたのだが、その先生に怒鳴られてしまった記憶がある。
そもそも日本の教育の根幹には「100点満点」をとるという教育が中心であった。これは現在の企業社会にもそういえるのかもしれない。

第7章「Why型思考を鍛えるために」
「Why型思考」を鍛える方法はいくらでもあるが、本章では性格面も含めて紹介している。「性格面」とは言っても良くすればよいのか、というのではなく「天邪鬼」などといったどちらかと言えばネガティブになることが重要とされている。

第8章「Why型思考の使用上の注意」
これまでは「Why」の良さを紹介してきたが、いつでもどこでも良いのかというと必ずしもそうではない。むしろ使い方を誤れば企業社会のなかで殺されることもあれば、人間関係を破壊させる劇薬にもなる。
本章では「Why型思考」の使用上の注意として、時として「What型思考」を使うことは大切であることを述べている。

もともと日本人は「Why型思考」を持つ人が多かった。その大きな所以の一つには安土桃山時代のキリスト教の伝来がある。多くの「キリシタン大名」が誕生した一方で民衆にはあまり伝来できなかった。
その一つの理由として、宣教師が神の存在を説こうとしても、「なぜ」と問いつめられることが多かった。
それがなぜ多かったのかというと、元々神道や仏教については形から宗教を身につけたというよりも、自然でもって宗教を身についたからである。
あくまで一例であるが、日本が独自の文化を築き上げたのもそういった思考があってこそなのかもしれない。しかし戦後の日本はそういった教育が廃れ、次第に「What型思考」が増えていった。廃れていったからでこそ、「Why型思考」を見直す様な時期に来ているのではないか、と本書を見て思った。

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