ここ最近では「もしドラ」のブームにより、企業のみならず、部活動やサークルなどで「マネジメント」の実践が行われている。
この「マネジメント」について、地方自治の場でも生かそうとしているところがある。北海道森町では37年間同じ町長が続いたが、2008年に著者が町長選に出馬、見事初当選を果たし、組織改革の産声を挙げた。
それから3年間で森町の地方自治はどのように変化をしていったのか、本書ではそれを紹介している。
第一章「人生を懸けた改革への決意」
北海道森町といえば駅弁の「イカ飯」が有名である。東京のとあるデパートで行われている駅弁フェアでは毎年売り上げNo1を誇っているという。470円というリーズナブルな価格でありながら、イカの上品な味わいが何とも言えないというが、私は食べたことがない。食べようとしてもすぐに売り切れてしまうからである。
与太話はここまでにしておいて、本章では会社経営者だった著者が故郷である森町の町長選に出馬したきっかけと町長選に初当選するまでのいきさつについて綴っている。
第二章「改革の第一歩」
町長に当選してから最初に取り組んだのは「副町長」などの人選であった。そしてもう一つ改革に取り組んだのは、職員の「意識改革」であった。本章では当選直後から行った改革について取り上げられている。
ちなみに私が本章にてもっとも印象に残ったのは「トイレ改革」である。掃除好きの私にとってはたまらないところである。
第三章「組織づくりは人づくりから」
組織づくりはビジネスの場ではよく行われているのだが、地方自治体でその「組織づくり」が行われているところは少ないように思えてならない。
本章では規律や姿勢、さらには研修に至るまでの「人づくり」を紹介している。
第四章「財政改革への取り組み」
北海道といえば、2007年3月に夕張市が財政破綻をし、大きな話題となった。北海道では他にも赤平市や森町など財政難に喘いでいるところは数多くある。
本章では財政改革として、工事費や雑費など微細なところからの改革を取り上げている。
第五章「議会との確執」
おそらく「改革」の中でもっとも大きい障害として。「議会」が挙げられる。地方自治体でも東国原氏が知事になったときの宮崎県や橋下氏が知事になったときの大阪府では、議会との確執が大いに取り上げられたのは記憶に新しい。森町も例外ではなく議会との確執があった。
第六章「我が町の素晴らしさ」
森町の名物の一つとして第一章にも取り上げられた「イカ飯」がある。実はこの「イカ飯」は森町で生まれ、家庭的料理として作られているのだという。
他にもホタテの養殖や北海道唯一の地熱発電所も森町特有であるのだという。
第七章「これからの町づくり」
北海道の中でも自然資源が豊富にある森町であるが、第四章で述べられたように財政難に喘いでいる。その財政の建て直しの他に、注目される町であり、お年寄りを大切にする町づくりといったことを目指しているという。
第八章「未来のために」
ここでは森町のために、というよりも未来の子供たちの為に伝えたいことが書かれている。
第九章「これからの使命」
森町の町長として、これからやるべきこと、思いを綴っている。
「イカ飯」の町として知られる森町であるが、財政難や過疎化に喘いでいる町でもある。2008年に著者が町長となってから様々な改革が行われてきており、その歩みやこれからも続くことであろう。地方自治体もビジネスと同じく「変わりゆく」、著者はそれを体現しながら今日も町長として辣腕を振るう。
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