「損する生き方」のススメ

人間は欲深い生き物であるため、生き方にしても「得」を欲しがる、というより「損」するような生き方をしたくない。私もその一人であるが、本書ではあえて「自分らしく生きる」ために、あえて「損」をすることの大切さを説いている。

第1章「自分を縛る成功、自分を活かす成功」
人は誰しも「成功」したいというのだが、果たして双であろうか。そして「成功」という言葉は人それぞれだが、それは財を成すことか、それともなりたい自分になることなのか。
問題を解決するにも、つきあい方にも成功に結びつけられるが、それが心的な重荷となることも有り得る。そこから得る「成功」は自分を縛ってしまい、成功した後の身動きがとれなくなってしまう。
だからでこそ、成功や常識にとらわれず、自らの「良識」をもって生きることを本章では薦めている。

第2章「心が軽くなる損する智慧」
「損する智慧」はあまり聞き慣れない。例に言えば電車で座席が空いても、相手に譲り、自分は立ったままになることがある。自分に見合った損する立場に立ち、相手に利益を与えることにより、自分自身が損をする。その損が心を軽くするという考え方であるが、その考え方は「般若の智慧」から来ているのだという。

第3章「「自分なんかバカだ」と気づけば、みんな優しくなれる」
宗教では「自分は愚か」という原罪の認識から始まるのだという。「愚か」であるからでこそ宗教に頼り、何も考えずに信じるという論理が成り立つのだという。
確か小池龍之介氏が「考えない練習」を上梓されたように、これからは「考えない」ことが心を軽くさせることにつながるのだという。

「損する生き方」はある種避けたい生き方であるが、「損して得を取れ」とまでは言わない。まして「得」も心を軽くすることができた意味での「得」であり、かつ自分らしく生きる一つの方法であるという。本書は巷にあるような成功本の逆を言っているが、その逆こそ大いなる意味があることを本書では教えてくれる。