絵はがき100年 近代日本のビジュアル・メディア

今年の4月1日より消費税が5%から8%に増税され、16年ぶりの消費税増税となる。それと同時に郵便料金も20年ぶりに値上げするなど、値上げラッシュが枚挙に暇が無い。ハガキや切手などが値上がりするのは個人的にも、仕事の関係上嫌な気分になってしまうのだが、景気を上昇させるため、あるいは福祉を充実するためには多少の犠牲も致し方がない部分もある。

さて、本書の話に移るのだが、ハガキの料金が値上げしたことと何ら脈略もないのだが、ハガキというと色々な種類があり、本書で紹介される「絵はがき」もその一つである。絵はがきは1906年に生まれ、出版された2006年当時100年を迎えた。それを記念して絵はがきの歴史を様々な場面でどのようにして扱われてきたのか、と言うのにフォーカスして取り上げている。

第一章「収集家の周辺」
収集家(コレクター)と言うと、色々なものがある。ハガキ関連だと本章で紹介される「絵はがき」もあれば、「切手」もある、ハガキと無関係なものだと瓶ビールの王冠や切符と言ったものも挙げられるのだが、「絵はがき」には次章以降にも取り上げるのだが「エンターテインメント」「記録」「メディアイベント」の3つの側面から歴史を知る事ができる。そしてそれらを記録することができ、エンターテインメントとして楽しむ事ができる、そして集める喜びもあるため「一石四鳥」があるため、絵はがきを集める収集家も少なくないのかもしれない。

第二章「エンターテインメントと絵はがき」
「絵はがき」のというと全国津々浦々の名所を取り上げた「名所絵はがき」と言うのがある。名所と言っても1年通じてだけでは無く、四季折々の風景を映しているものもあり、旅行の思い出として絵はがきを購入する人も少なくない。当然収集家の中でも強者に分類する人だと「絵はがき」のために全国津々浦々を旅して絵はがきを集めると言う人もいる。

第三章「記録写真としての絵はがき」
絵はがきは100年の歴史がある。その歴史の風景や記録としても「絵はがき」として取り上げられることがある。それは楽しい側面もあれば、風化させてはならない悲しい記録としての側面もある。その両方の側面をもって絵はがきは「記録」の側面としてある。

第四章「メディアイベントと絵はがき」
「メディアイベント」と言うとちょっと取っつきにくいようだが、「オリンピック」や「記念イベント」で発行される絵はがきのことを言う。第三章との絡みもあるのだが、イベントしても、記念としても、その時代に何が起こったという「記録」として絵はがきがある。本章ではオリンピックや万博、さらには負の側面として戦争における絵はがきも掲載している。

私自身「絵はがき」を買うことはほとんど無いのだが、私が住んでいる鎌倉にも観光名所や四季折々の写真など絵はがきは多数あり、観光客に人気である。その絵はがきを縁があったら買いたいのだが、別にあげようと思っている人はいないのだが。

私事はさておき、絵はがきそのものの歴史を取り上げるのもユニークであるが見てみると日本そのものの歴史を見ているような気がした。絵はがきの歴史と日本の歴史は密接に関係しており、絵はがきを見てみると、さまざまな「記録」として扱われるのだなと言うことを本書によって気付かされた。