このごろ「著作権」に大きな関心が寄せられている。その大きな要因の一つとして「Web2.0」の誕生と隆盛が挙げられている。急速な技術革新により、著作権保護などの方の整備が追いついていない現象が起こっている。
それどころか技術革新と著作権保護そのものが対立関係にあるように見えており、「タマゴが先か、ニワトリが先か」という不毛な議論になることも少なくない。
本書は「Web2.0」と著作権の現状、そしてこれからの著作権はどうあるべきかを示している。
第一部「現在―技術先行」
今日では「Web2.0」のみならず、ソーシャルネットワークの進化もある。その一方で動画やファイルの交換・共有などにより著作権に抵触することが増えてきたことにより、ネットと著作権は切っても切れない関係となった。
最初に言ったのだが、技術革新が著作権に追いついていないが、その一方でDVDでは「ダビング10」など著作権を保護するための技術も出てきているものの、その網目をかいくぐるような技術も出てきている。
第二部「著作権法―キーワード集」
ここでは著作権法そのものの基礎を紹介している。主にキーワードをもとに権利や表現、あるいは著作物を解説している。
第三部「過去―試行錯誤」
過去に著作権で話題となったビジネスモデルや技術についても紹介している。
昨今ではネット技術が叫ばれているが、新たな録画・映像技術が誕生したときも著作権が叫ばれ始めた。そこで出てきたのが「JASRAC」である。「JASRAC」によって「私的録音録画補償金制度」がつくられ、私的な複製が条件付き認められるようになった。
音楽や録画だけではない。プログラムやデータベース、電子ジャーナルにおける著作権についても紹介している。
第四部「近未来―見直し」
これからの著作権はどうあるべきか。
著作権の期間を延期すべきか、著作権そのものの規制を強化する、もしくは罰則を強化すべきか、という議論は絶えない。
技術革新の波は止まることを知らない。しかしその波に著作権は飲まれていると言っても過言ではない。著作権によってその潮流を促すのか、それとも反抗するのか、その道筋に対する議論も含め、いまだ解決の糸口を見つけるのも急ぐ必要がある。これは「法律」という一括りではなく、技術や歴史など様々なところから見ていく必要がある。本書はそのことを言っている。
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