浅草のおんな

先日「男の流儀」や「作家の遊び方」にて豪快な一面を世に送り出した伊集院静氏。著者の師匠である阿佐田哲也(色川武大)の下で作家としてだけではなく、麻雀などの遊びも教えられた。その兄弟子にはミスター麻雀・小島武夫がいる。

本書の舞台を浅草に選んだのも伊集院氏らしい。浅草には寄席である演芸ホールやストリップ劇場のある六区もあれば、近くには吉原もある。江戸の中でも娯楽が豊富である場所と言える。

本書の話に戻す。浅草の小料理屋の女将が主人公であるが、その女将は男を追ってはるばる東京へやってきた。しかし悲しい別れがあった。

「江戸情緒」

本書ほどこの言葉の似合う小説は今まで見たことがない。その情緒を肌で感じるどころか、その小料理屋で日本酒を呑みながら女将の話を聞いたり、色々なお客さんと話をしているような感覚で読める一冊であった。