昨今では「高齢化社会」といわれており、段階世代は既に還暦を迎えた。もっとも年金の受給も60歳から65歳に引き上げられた。企業によっては定年後の再雇用制度も確立するなど、高齢化社会に関する対策も行われている。
本書のいう「2013年問題」は、年金の支給年齢の段階的な引き上げにより60歳になったとしても年金がもらえない。および起業にとっても65歳定年の義務化(定年制の廃止か定年延長などの選択肢はある)が課せられ、企業にとっても頭に重くのしかかる課題と言える。
本書はその2013年問題の全容と、その対策、そして日本における人事制度の変容についての考察を行っている
第1章「2013年問題と企業経営環境」
最初にも書いたとおり2013年には60歳になったとしても厚生年金が受給できなくなる。その一方で日本の雇用延長や再雇用制度が確立したとはいえ、それに関しては積極的でない企業が多い。しかも企業採用に関しても消極的で優秀で即戦力になるような人材しか欲しがらないような風潮となる。ましてや私たち、もしくはそれより下の世代は人事からみた印象についても本章にて述べている。
第2章「日本型人事・報酬システムの課題」
一昔前は終身雇用制度で定年を迎えるまで、安定した雇用は保障された。しかしバブルが崩壊してからは終身雇用が否定され、「成果主義」が導入されたが、ある大手メーカーのように失敗したケースもある。報酬制度のみならず、人材育成に関しても課題が多く、かつ現在の世代にマッチしたもの、企業にとって核をなす人材を育成に手が回らない企業も多い。
第3章「報酬制度の転換」
そのような現状のなかで日本はどのような人事・報酬制度を設けるべきか。ここでは「報酬制度」にスポットを当てる。
かつてあった年功序列主義にも、最近取り入れられた成果主義にもメリットは存在する。本章ではそのメリットを「良いとこ取り」をするような雇用体型や報酬、昇給などを提示している。
第4章「人材育成の転換」
人材育成と企業の売り上げはリンクしているか、という質問であるが、必ずしもイコールとは限らない。しかしそれは「直近の売上」のことをいっており、10年後といった将来の売上を考えると、人材育成こそ、会社の将来を描くために重要な要素である。その人材育成の方法についてを事例とともに取り上げている。
第5章「キャリア開発の転換」
昨今の日本企業が取り上げるべき人材育成やキャリア開発として、女性や高齢者を挙げている。その人たちの任務遂行のフロー開発など企業が見逃しているチャンスも多々ある事を本章にて気付かされる。
第6章「日本企業に必要な価値観・風土」
日本企業としてあるべき価値観や風土、それはかつて忘れていた日本人そのものの価値観や考え方にある。そのことを本章にて語っているように思える。
時代は変わるがごとく、日本企業、そして人事制度は変容を遂げる。その変容が、日本企業にとってプラスになるようにするにはどうしたらよいのか、その要素が本書には詰まっている。
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