ウイスキー起源への旅

先日ジャパニーズウイスキーについて取り上げたのだが、そもそもウイスキーそのものの起源はどこにあるのか、というところまでは言及しなかった。
そもそもウイスキーは「蒸留水」から作られた酒であるため、「蒸留酒」そのものの歴史から紐解くと4000年にも及ぶ。ちょうど中国大陸の歴史と同じくらいである。
本書はそのウイスキーの起源を著者がイギリス留学時に入手した資料をもとに推理を行っている。

第一章「ビールとワイン」
ビールとその起源については「ビール・イノべーション」にて詳しく紹介しているので、ここでは割愛する。
ちなみに、ワインはビールよりも最も歴史は長く、約8000年もの歴史があるという。
ワインというとフランスやイタリアを連想してしまうのだが、イギリスも「ワインの国」と呼ばれるほど、ワインの生産は盛んである。

第二章「蒸留」
「蒸留」は日常生活ではあまりふれられない。しかし「結露」というと北海道在住の時には秋~冬にかけて悩みの種だったことを覚えている。とりわけ冬は氷点下まで冷え込む為、結露した水が氷となり、窓をあけるのにもぬるま湯をかけて溶かさないと開けられなかった。
脱線してしまったので「蒸留」の話に戻す。蒸留とは液体が沸点に達し、それが「蒸気」になる。その「蒸気」を冷却期に向かせ「液体」に戻して余分な物質を排除する手法のことを表す。本章では蒸留の手法だけではなく、蒸留の歴史について綴っている。その蒸留の歴史は5000年にも及ぶという。

第三章「アクアヴィテ、生命の水」
「アクアヴィテ」は初めて聞くので、ちょっと解説する。簡単にいえば「ワインの蒸留液」であり、かつブランデーと呼ばれるものである。「酒」ではなくあくまで「原酒」と呼ばれる類であり、「酔うための液体」と称されている。その「アクアヴィテ」はウイスキーを作るための根幹となる「原酒」そのものである。

第四章「ウイスキー誕生」
本書の核心に入る。
ウイスキーが誕生したのは諸説あるが、もっとも古い説はアイルランドで600年頃から作り始めたといわれている。他にも1200年代から誕生した説もある。そのルーツとしてケルト民族の歴史も併せて紹介している。

第五章「アイリッシュの繁栄と衰退」
アイリッシュは正確に言うとアイルランドに本社を置く「アイリッシュ・ディスティラーズ社」のことをいう。「エール蒸留酒」の製造・販売を行っている会社である。本章ではその会社の栄枯盛衰の歴史と著者自身の会社訪問について綴っている。本書をみる限りでは200年以上の歴史があるため、日本における老舗企業とも引けをとらないほどである。

第六章「スコッチウイスキーの奇跡」
先日取り上げた「ウイスキーは日本の酒である」で、ジャパニーズウイスキーの原点として取り上げたスコットランドのウイスキー、通称「スコッチウイスキー」について取り上げている。スコッチウイスキーが初めて日本に渡ってきたのは明治維新を果たしてからの時であるが、そのものの歴史は12~13世紀と中世の時代にまで遡る(諸説あり)。

ウイスキーの歴史は蒸留酒そのものの歴史から紐解いていく必要があるという。その蒸留酒も「ジン」や「ウォッカ」といったアルコール度数の高い酒として飲まれているのは周知の通りである。蒸留酒そのものの歴史も深いのだが、それがウイスキーのルーツでもあり、その歴史はウイスキーを楽しむ一つの「肴」ともいえる。