アイスクリームの歴史物語

アイスクリームといえば「夏の風物詩」の一つとして取り上げられるが、残暑の厳しい今日この頃でも通用する。冷たさとクリーミーな味が、暑い夏を涼ませ、至高のひとときを得ることができる、身近なお菓子の一つと言える。

しかしそのアイスクリームはかつて「超ぜいたく品」と呼べるほど高級なものであったが、それがなぜ大衆食となったのか、そしてアイスクリームはどのように誕生し、進化をしていったのかを本章にて解き明かしている。

第1章「アイスクリーム草創期」
アイスクリームが「束の間の憩い」として言われるのはイタリアやフランス、アメリカ、日本のような先進国でも、中国、インド、イラクのような国々でも共通認識としてある。
そのアイスクリームの起源は中国大陸が「唐」と呼ばれる王朝のあった時代、皇帝たちが凍った牛乳のようなものを食べたことから始まったと言われている。それから13世紀末にマルコ・ポーロが「東方見聞録」にてその食を伝え、ヨーロッパにも知れ渡った。
「アイスクリーム」として誕生したのがそれから約400年後の17世紀にイタリアのスペイン総督府における厨房・食品管理の監督官だったアントニオ・ラティーニがミルク・ソルベット(イタリア語で「ミルク・シャーベット」のこと)のレシピを記したことが始まりとされている。

第2章「旧世界(ヨーロッパ)と新世界(アメリカ)で」
アイスクリームが誕生してからその開発の中心地はフランスとイタリアにあった。後に製氷技術や乳製品も進歩し、アイスクリームの進化に拍車をかけた、それがイギリスにも伝搬し、中流階級を中心にブームを作り上げた。
そしてそれが移民とともにアメリカ大陸にも渡った。

第3章「大衆化するアイスクリーム」
そのアイスクリームは中・上流階級貴族のものから「大量生産」技術が発展するとともに、それとともにアイスクリームの単価も下落し、大衆でも手に届くような代物となった。19世紀中期の頃である。

第4章「アイスクリームの黄金時代」
その19世紀中期から大ブームとなった。アメリカでは「アイスクリーム・パーラー」が続々と建てられた。

第5章「コーン・アイスクリームの誕生」
今までアイスクリームとして栄えたのはカップのアイスクリームだった。後に今のようにコーンのアイスクリームが作られたのは1904年に行われたミズーリ州の万国博覧会の時である。

第6章「大量生産の時代」
時代は現代へと移る。第二次世界大戦後アイスクリームのチェーン店やプレミアムブランドが作られ始めた。アメリカから作られ、やがて欧州、さらには日本、そしてアジアへと展開していき、より身近なものになっていった。

第7章「新たなアイスクリームを求めて」
最初にアイスクリームは「夏の風物詩」と言ったが、国・地域によって食べられ方・作られ方・季節が異なる。とりわけ酷寒な気候で知られるロシアでは冬でもアイスクリームが人気であり、90年代には列をなすほど人気になり、かつ消費量も急増したと言われている。

アイスクリームは国・文化に関わらず人に涼み・憩い・癒しを与える食べ物である。その歴史について描れた一冊をみると、甘みだけではなく、歴史と言う名の深みが加わる・・・かもしれない。