アラブ音楽

中東から北アフリカを総称して「アラブ」と呼ばれることがある。その地域でつくられた文化を「アラブ文化」、そして音楽は本書にて紹介する「アラブ音楽」である。アラブ音楽はあまり聞いたことがないのだが、この前に久々に聞くと、独特な感じがしてならなかった。もっともクラシックなどを中心とした西欧の音楽、独特の間や情景を生み出す東洋の音楽、その間にあり、それぞれの音楽を取り入れつつ、アラブならではの独自の音楽を作っていたと言えるのかもしれない。

本書はそのアラブ音楽がいかにして作られた歴史と原理、そしてアラブ音楽がつくられるための楽器などを取り上げている。

第一章「歴史のなかのアラブ音楽」
予め行っておく必要があるのだが、音楽と宗教は密接に関わることが多くある。キリスト教においても、それにまつわる曲が数多くあり、仏教にしても、神道にしても然りである。
ちなみにアラブ音楽は「イスラム教」との関連性が非常に強い。もっともイスラム文明が作られたとき、6~7世紀の時に古代音楽として形成づけられたことから始まる。

第二章「アラブ音楽の原理と特徴」
アラブ音楽と西洋の音楽との違いとは何かと聞かれると、音楽的な用語として本章では解説しているのだが、簡単に言うと、歌の主な流れ、つまり「旋律」について、西洋は主体となるものがなく、色々な音と混ざり合う「和音」を重視している一方で、アラブは声を重視したもので、歌を非常に重視しているところにある。ほかにもアラブならではの特徴(音階や表現技法など)があり、かつさらに細かくなると地域によっても異なる。

第三章「近代の復興運動とアラブ芸術音楽」
アラブ音楽もまた、ほかの地域の音楽に漏れず「芸術」として扱われる。その芸術に対しての復興が行われたのだが、その復興の中にはヨーロッパの影響もあったのだという。またアラブ音楽を復興し、発展したことについて各国によって異なるのだという。

第四章「民衆音楽」
アラブ音楽は民衆にも伝播されるようになったのだが、そもそもアラブ音楽とひとえに言ってもジャンルがあるのだという。そのジャンルのあり方や表現などを取り上げている。

第五章「楽器」
アラブ音楽を紡ぐために楽器があるのだが、アラブならではの楽器がある。一例を挙げると、管楽器では「ナーイ」や打楽器の「タンブール」があるが、もっとも有名なものとしては弦楽器の「リュート」が挙げられる。

アラブ音楽はかなり独特であるのだが、歴史によって受け継がれ、そして進化していったこと、イスラム教も発展の一助を担っていたこともあり、つくられた。アラブ音楽を歴史・文化を紐解いていくと、独特であるルーツがあるのだから面白いということを指し示した一冊が本書といえる。