人は誰しも多かれ少なかれ「失敗」をする。しかし企業や人の中にはそれを許さない所もある。それ故に「失敗」を極端におそれ、「指示待ち人間」ばかりできてしまうのだという。
著者が社長をつとめる会社の風潮は「とにかくチャレンジし、失敗しろ」というようなものである。「失敗」は程度にもよるが、自分にとっても会社にとっても損失を被ることになる。しかし損失を被るからでこそ、反省し、次の成功につなげられ、組織や会社も活気づくのだという。本書はその「失敗」を奨励することによって、自ら考え・行動できる人材をつくり、活気付けさせることができるのか、その経営哲学を伝授している。
第1章「「失敗」こそ会社の財産」
私も会社員を勤めているが、会社員としてもプライベートとしても「失敗」は付き物であり、かつ自分自身もたくさん失敗してきた。
しかし「失敗」は誰しも恐い。それを恐れて隠そうとしている。しかし「失敗」は誰しも行ってしまう。それに正面で向き合い、オープンにし、次の成功につなげることが大きな糧となり、会社としての財産となるのだという。
第2章「「失敗」が人材を育てる」
「失敗」は人が原因ばかりではない。やった「事」に原因があるのだという。その「事」が失敗につながった原因を見つけ、それを改善していくことによって成長につながる。単に「失敗」ばかりを責める、あるいは「気にするな」という人もいるのだが、それだけでは人は成長しない。
第3章「「失敗」して伸びる人・伸びない人」
失敗の向き合い方、接し方によって、成長したりしなかったりするのだという。「失敗」に対するとらえ方一つで伸びる人になり、そのとらえ方によって「伸び方」も大きく変わってくる。
第4章「私も失敗の連続だった」
著者の生い立ちと会社人生についてを綴っている。その人生はまさに「失敗」の連続であり、追いつめられたり、苦難にあったりすることもあった。しかしそのような状態が後に「失敗する」ことを奨励する社風の基礎を築いた。
第5章「野島流・経営哲学」
著者の経営哲学として「失敗を奨励する文化」もその一つであるが、そのほかにも正解のない仕事、プロセス重視、「楽しく働く」ことの考え方まで紹介している。
「「失敗」と書いて「せいちょう」と読む」
名捕手であり、名監督として名を馳せた野村克也氏の名言である。その言葉を体現し、その土壌を作っている企業の代名詞が、著者が経営している「ノジマ」であり、その社長である著者といえる。
「失敗」や「リスク」を恐れる日本人。そのレッテルから脱するヒントと、日本企業における復活の鍵が本書に眠っているといっても過言ではない一冊である。
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