クレームを活かせ-電気事業編 信頼を高めるクレーム対応術

東京電力を始め電力業界は今、逆風にさらされている。
事の発端は東日本大震災に伴う福島第一原発のメルトダウンが挙げられる。その福島第一原発への対応について隠蔽や言い訳ばかり行っている体質がメディアに報じられ、肩身の狭い思いをしている方々も多く、時には「差別」として挙げられることも少なくない。本書は東日本大震災以前に作られたものであるが、恐らくその電力業界に働く方々のためのエールとしてクレーム処理のイロハを伝授している。

第1章「クレーム対応の基礎知識」
クレームの多い業界の一つとして取り上げられる電力業界。そのクレームは電力が安定的に供給されているからでこそ、自然と起こるものであるという。
そのクレームは電力会社に限らず、「サービス」によって成り立つのだが、そのサービスの受け取り方、与え方によって感謝されることもあれば、クレームになることもある。
その「クレーム」はどうして起こるのか、その概要について取り上げている。

第2章「クレーム対応の心構え」
様々なインフラの根幹を担う電力は、存在して当たり前の存在と言われる。その存在だからでこそ、些細なことで「クレーム」が往々にして起こっている。
「クレーム」はネガティブな印象を受けることが多いのだが、対応の仕方によってそのクレームを行った人に対し感謝されることもある。その対応について本章では「心構え」としてどのように向き合い・判断していくのかを取り上げている。

第3章「ヒアリングの技法」
クレームに対し、正しく対応を行うためには感情を廃し、相手の内容とその「本質」を聞き出すことが大切である。聞き出すときの「聞く」動作、そして本質を見つけるための質問の仕方などまで言及している。

第4章「納得を引き出す技法」
聞き出したクレームの内容から、いかにしてゴールや妥協点を引き出していくのかもクレーム対応として重要な要素の一つである。情報の整理や「表現」の仕方、そして解決策の見出だし方などを伝授している。

第5章「困難なクレームへの対処法」
クレーム対応のなかには無茶な要求や例外、あるいは長時間や恫喝まがいのクレームまで存在する。特に電力業界は困難なクレームも往々にして出てくることだろう。そのようななかでいかにして対応をしていくのか、本章ではその防衛術を示している。

第6章「クレームに強い組織づくり」
クレーム対応は一人でできることもあるのだが、第5章にあるような悪質なクレームとなると、一人では対応しきれない。「クレーム対応」を専門にした部署をつくり、組織をつくって対応をしていく他ない。

第7章「電気事業のクレーム事例集」
電力業界独特のクレームも色々と存在する。その電力業界ならではのクレームを10の事例にして紹介している。

東電ばかりではない。これから原発事故だけではなく、これから「電力値上げ」も起こる。様々な事情により上げざるを得ないような状況である。しかし、その事情についてクレームをする人も少なくないことだろう。そのような状態のなかで電力会社は肩身の狭い思いをしている。もしくは度重なるクレームによって心身ともに疲弊しているのかもしれない。

しかし、電力会社なくして私たちはこのように電気を使うことができることを忘れてはならない。そして電力会社はクレームを武器にして感謝の言葉を集めることができることを、本書を通じてなす事を願ってやまない。

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