桜葬―桜の下で眠りたい

平年であれば既に桜の時期は終わり、全国的に夏の始まりが始まるような状況にあるのだが、東北から北海道は寒さにより、平年より遅れてしまい、場所によってはこれから桜シーズンになるのだという。

本書はその「桜」にちなんでいるのだが、桜の下で眠りたい、という思いから「桜葬」を希望する人がいるのだという。それを希望する理由や思いは人それぞれであるが、こちらに関しては第4章で詳しく述べられているため、ここでは割愛する。
本書は「桜葬」が誕生した理由、そして桜葬の魅力について迫っている。

第1章「「桜葬」のバックステージ」
最近では「就活」ならぬ「終活」が活況を呈している。
その要因として「東日本大震災」があるのだが、それ以前でも「週刊ダイヤモンド」などの週刊誌で「エンディングノート」などにまつわる特集について何度から組まれた。
「桜葬」が考えられ始めたのは20年ほどまえ、さらにそこから10年後にはその「桜葬」が実践されるようになってきた。「21世紀の葬送」と題して新しい形の一種で「桜葬」が提案された。他にも新しい形の葬式などが次々と出てきた。

第2章「「桜葬」の理念」
「桜葬」とは何か。
桜の木の下で眠る墓のことを指し、「土葬」に近いものである。異なるものでは散りゆく桜の花びらがあたかも土のように埋まる葬送の形式である。
またこの墓は半匿名性を持っており、集団で埋葬できるため、無縁仏のように孤独のまま死ぬ、と言う形にならない。

第3章「設計者が語る各エリアの設計意図」
その「桜葬」は様々な場所で設計されたのだという。その桜葬を設計する際にどのようなエピソードがあったのか、本章ではその設計者が綴っている。
第4章「桜葬を求めた人々の想い」
その「桜葬」を行った人々の思いはそれぞれある。

・華やかな桜の下で眠って欲しいという思い
・故人は桜が好きだったと言う理由
・「自然に還りたい」という思想

そういった人々の思いが重なり、「桜葬」は作られ、そして実行されていった。

第5章「桜葬ネットワーク会員」
樹木葬の一つとして挙げられる「桜葬」だが、そのネットワークはそれを希望する人々のみならず、それを受け入れる寺院もネットワーク会員として連なっている。

第6章「協働している団体」
ネットワーク会員だけではなく、主体的に促している団体もあれば、「協働」として協力をしている団体も寺院を中心に取り上げられている。

春は「桜の季節」である。その桜の木下にお墓を作りたいという人も出てきていることは自分としても初めて知った。墓や葬式の形式が多様化する中で、新たな葬式の一つとしての「桜葬」、本書はその特性と方法を提示している。

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