日本には様々な大学が存在するが、大学の数と同じくらい「大学教授」も存在する。大学教授もさることながら、準教授や助教とよばれる方々は教鞭にたつような免許を持っているのかと言うと、そうではない。大学教員の免許は小中高校と違い、存在しないのだという。
そう考えると大学教授は得体の知れないような存在のように見えてしまう。本書は大学教授の役割と資格について「謎」と呼ばれる部分を中心に紹介している。
第1章「大学教授とは何か」
元々「大学教授」と呼ばれる存在は明治時代に入り、「脱亜入欧」のスローガンを元に西欧の大学教育が導入されるようになってからのことできた。その西欧における大学教授の存在も現在の日本と同じようなものが作られた。
第2章「大学教授の要件」
大学教授や準教授にも当然、なるには一定の資格は必要である。免許は必要がないのだが、「大学設置基準」として専任教授・準教授・助教(講師)の条件が設けられている。
第3章「大学教授の「資格」」
第2章では、大学教授を任せられる条件として、「大学設置基準」を取り上げてきたのだが、実際に大学で準教授や教授として教鞭をとる条件には、設置基準は最低条件として、研究者としての研究実績・教育実績(研究者として講演を行ったか)も問われる。
第4章「大学の大衆化と大学教授の変容」
今となっては「大学全入時代」と呼ばれており、大学のヴァリエーションも幅広いものとなっている。その分大学教授の門戸も広がるようになってきたのだが、大学教育としての「質」も問われるようになってきた。
第5章「大学教授の「質」の低下と社会人教授の参入」
学生の割には数多くの大学が存在しており、それに伴って大学教育における「質」も低下の一途をたどっている。それと同時に「産学連携」を合い言葉に産業と大学とを連携するような活動も進んでいる。
第6章「アカデミック教授と社会人教授の差異」
大学教授にも様々な人がおり、博士号をもらってから大学に入り、助教・準教授・教授となった「アカデミック教授」、社会人として会社の研究員を進め、その後大学で研究員となり、教授となる「社会人教授」が存在する。
最近では産学連携に伴い、企業事情にも精通している「社会人教授」の採用が増えてきている。「アカデミック」と「社会人」の差異として企業社会と精通しているのか、どうかの関係もあるのだが、もう一つの差異として「論文」にも特徴があるのだという。
第7章「社会人教授の実態分析」
社会人教授は最近増えてきていると言われているのだが、社会人教授とはどのような実績と特徴があるのだろうか。本章では安藤忠雄(建築家・東京大学特別栄誉教授、名誉教授)など日本で有名な社会人教授を数人取り上げている。
第8章「大学のグローバル化と大学教授の「グローバル・スタンダード」の要件」
日本における企業がグローバル化の一途をたどっていると同時に、大学の世界でも「グローバル化」の一途をたどっている。学生が外国の大学へ留学することはもちろんのこと、日本の大学教授もまた海外の大学で教鞭をとる、研究を行う人物もいる。
最近では現役のビジネスパーソンが大学教授や大学講師になるといった人もいる。大学教授はもはや大学だけで生まれるような存在ではなく、一定の業績や研究成果を持っている人、及び修士号・博士号を持っていれば誰にでもなることができる。それほど大学教授の門戸は広がっていると同時に、教授となるための資格、ネームバリューや実績が必要になってくるという。本書を読むと、大学教授もまた「競争」に巻き込まれていると言っても過言ではない。
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