他人を支配する黒すぎる心理術

マルコ社様より献本御礼
「心理術」というと、悪く言えば「マインドコントロール」の類ではないかと連想してしまうのだが、本書はあくまで「人間関係を円滑にする」ということを念頭に置いている。
しかし本書のタイトルにある「黒すぎる」というのが気にかかってしまうのだが、それをタイトルにした理由はいったい何なのか、そしてそれをなぜ「悪用禁止」と書かなかったのか、本書とともに探っていこうと思う。

第1章「あの人物も心理術を使っていた!? 黒すぎる心理術の系譜」
そもそも心理学とはどのような歴史をたどっていったのか。初めて登場したのは19世紀のことであり、ドイツの哲学者・生理学者ヴントが提唱した。そこから心理学が生まれ、時代とともに変化し、心理的な学説も次々と築かれていった。
その一方で学術以外の様々な場で「心理学」が利用されるようになった。一例として、ヒトラーの演説、及び橋下徹の演説に心理的なスピーチを盛り込ませていること、さらにはコンビニの品揃えにしても心理に合わせて設計されているのだという。

第2章「相手の「表情」「しぐさ」からホンネを透視する方法」
自身の中にある「ホンネ」は、表情・しぐさにはっきりと表れる人もいれば、よほど注視しないとわからない人がいる。そもそも自分自身が映し出す「表情」は自分自身の心の中身を映し出している。
その「表情」「しぐさ」のことを「非言語コミュニケーション」と表されている。
本章では表情にしても「目の動き」から「口の動き」「手足の動き」などについて心理的にどのような傾向にあるのかを紹介している。

第3章「人を操るその前に・・・行動に影響を与える8つの心の法則とは」
行動には様々な「原理」が存在する。その「原理」について本章では「8つ」に分けて紹介しており、それが自分自身がどのような「原理」でもって行動をしているのか、チェックをすることができる。

第4章「他人を支配する黒すぎる心理術」
本書の根幹である心理術のイロハである。言葉にしても、見た目にしても、他人との接し方にしても、相手との位置関係にしても、やり方一つで相手の印象を変化させることができる。変化によっては自分にとって良い印象を与えさせることもできる。ページ数の半分を割いており、その分細かく行動やしぐさなど数多くのケースを取り上げられている。そのためビジネスにしても、プライベートにしても状況に応じて実戦することが可能である。恋愛からビジネスまで使えるからでこそ「黒い」という表現になり得るのだが、これは心理学的にもよく使われることから「悪用禁止」にもならない、というよりも悪用する場所が見あたらない、とも言える。

第5章「他人に「操られない」ための心構えとは?」
これまでは行動原理からテクニックに至るまで紹介されたのだが、最後はテクニックを使うにあたっての「注意事項」と言うべき所である。いくら「黒いテクニック」を使用しても使い方を間違ってしまうと自分自身が他人に「操られてしまう」ことになりかねない。

本書は心理的に、「人を操る」テクニックを標榜しているが、あくまでビジネスの場で、プライベートの場で活用できることから、あくまで「人を操る=コミュニケーションを円滑にする」ということを念頭に置いている。本書は「マインドコントロール」の類ではなく、あくまでコミュニケーション本としての「心理術」を説いている。