何もかも憂鬱な夜に

人間は誰しも「憂鬱」になるときがある。私も例外では無く、1日の何時間かは憂鬱になることがある。その憂鬱の金部を以下に脱するかは人それぞれなのだが、自分自身はうつになっている事をノートに書き出す、と言った事をやっている。

私事はここまでにしておいて、本書は刑務官の主人公が若い死刑囚との出会いから始まる。その死刑囚は殺人罪で死刑判決を受けたのだが、控訴をしなかった。その死刑囚は死刑が確定になり、絞首台に行く日を心待ちにしていたのだろうか、それとも、自分自身の人生が嫌になって、死のうと考えているのだろうか、それは定かでは無い。

ただ、本書を読んだ中でこれだけは言える。それは、主人公である刑務官が、死刑囚の姿を見て複雑な思いをしたこと、友人の自殺もあれば、「死刑の任務」をやるということなど、「刑務官」としてのつらい仕事に関して、いろいろな思いを馳せ、そして憂鬱になっていた。その姿がリアリティがあふれていて、呼んでいる自分でさえも「もしも自分が絞首台に立ち会ったらどうなるのか」という疑問を持ってしまう。そんな一冊だった。