つかまり屋

本書のタイトルを見るに、どうも囮というイメージが持たれる。しかし本書は犯人警察との逮捕を巡る「闘い」を描いている。

その犯人は犯罪を犯す前、容疑者として「誤認逮捕」を受けたことがあり、なおかつ幼少の頃から警察を嫌い、憎んでいたのだという。誤認逮捕をきっかけに「つかまり屋」として暗躍し、さらには殺人事件の「犯人役」として駆け引きを行うと言うものである。

殺人事件は本書の物語の中で起こったのだが、真犯人と言うよりも、警察と警察に恨みを持つ人(つかまり屋)との闘いが中心となる。真犯人はある意味「蚊帳の外」といったイメージがあってならない。とはいえミステリーながらも、事件をめぐっての違った方向での「駆け引き」が魅力的な一冊であった。