なぜ日本人はモーツァルトが好きなのか

私自身クラシックを聴くことが多くあるのだが、なぜかダウンロードやCD売場のクラシックコーナーを見るとモーツァルトが非常に多くある。ほかにもモーツァルトの天才性を追ったもの、あるいはモーツァルトに嫉妬したサリエリを描いた作品など数多くの作品にてモーツァルトが音楽以外でも取り上げられるほどである。

なぜモーツァルトの曲など様々な作品が日本人に愛されているのか、その要因について取り上げている。

第一章「幕末から明治時代」
日本で初めてモーツァルト作品が上演されたのは幕末の時である。その時には鎖国が解かれ、外国の文化が次々と取り入れられるような状況にあった。その中で1865年に海外の音楽隊の日本公演で初めて取り上げられた。その曲は序曲「魔笛」であった。

第二章「大正デモクラシーと太平洋戦争」
文明開化が栄えるようになり、日本発のオーケストラも次々とできてきた。当初は10人程度の小さな者であったのだが、楽団の数、そして楽団内の人数も増えていき、オーケストラの世界も広がりつつあった。当初は貴族の楽しみとして扱われてきたのだが、それが庶民へと伝搬していいった。また、ラジオ放送も開始し、家庭内でクラシック音楽を楽しむことができるようにもなった。

第三章「戦後の復興と高度経済成長」
大東亜戦争が終焉を迎えた当初は、荒廃によりオーケストラの規模も小さくならざるを得なかったのだが、息を吹き返した。そのきっかけが年末の風物詩にもなったベートヴェンの第九であったのだが、やがてモーツァルト作品でも人気を博し始め、愛好者も出てくるようになった。

第四章「モーツァルト・ブームの到来」
モーツァルトの人気が増え始めた時から「モーツァルト研究」ができ、音楽だけでは知り得なかったモーツァルトの側面を知ることができるようになった。それがきっかけとなりモーツァルトの音楽・人など様々なところで取り上げられるようになり、音楽がCMで取り上げられるなど一大ブームにまでなった。

第五章「日本人の美学とモーツァルト」
モーツァルトが天才であることは誰も疑う余地はない。しかしモーツァルトはなぜ日本人に親しまれてきたのか、そこにはモーツァルトのセンスと日本人の感性の親和性にあったという。

私自身もモーツァルト作品を聴くことが多々あるのだが、私たち日本人に親しまれやすい要素は感性によるものかもしれない。またモーツァルトが広がりを見せたこともまた、日本にクラシックが浸透した要因の一つなのかもしれない。