政府はこうして国民を騙す

本書は民主党政権が終焉し、自民党が政権復帰して間もないときに出版されたため、民主党政権の総括とも言えるような一冊である。

民主党政権では衆議院総選挙において、マニフェストと称して様々な公約を掲げたが、ことごとく破り、好き勝手な政治を行ったこと、そしてメディアもまた「権力を監視する」という名の下にいろいろなニュースを流すのだが、著者は情報操作を行っていると主張している。当時の民主党政権とメディアの鋼材とはいったい何なのか、メディアの中枢にいる立場として暴露したのが本書である。

第1章「情報操作は日常的に行われている」
情報には「オフレコ」と呼ばれるようなものが存在する。絶対に公にしてはならない発言や情報のことを表しているのだが、オフレコの情報を面白がって記事にするメディアも存在するのだが、それ以上にオフレコの情報をあたかもあるように「操作」をしている事例もあるのだという。しかも著者曰く、そういうことは日常的に行われていると糾弾している。その事例として原発問題やそれに関連する失言、さらには隠蔽活動、そして「陸山会事件」や「指揮権発動」などの出来事におけるメディアのあり方について検証している。

第2章「政府は平気で嘘をつく」
ここで言う「政府」は民主党政権下にあったときのことである。著者が本章にて暴いた「嘘」とは「東京電力解体」や「東電リストラ」など福島第一原発事故から端を発した東電関連の出来事である。

第3章「迷走する政治、思考停止したメディア、跋扈する官僚」
政治的な迷走は今も昔もあり、それにメディアは糾弾するのだが、その糾弾の仕方はあたかも「思考停止」に陥っているような形に成り下がってしまっているという。本章では野田政権下に起こった増税、さらにはインフレ目標導入などの政治的発言や政治の在り方、さらにはメディアや官僚のあり方について批判している。

2012年12月より自民党政権に戻り、安倍政権が始まった。それから「アベノミクス」によって低迷していた経済も復活の兆しを見せたが、今のところ完全に「回復」したとは言い難い。とは言えど民主党政権よりもましという評価もある。著者は今の安倍政権についてどのように評価しているのか、そして民主党政権下にあったメディアがいかにして変化したのか、聞いてみたいところである。