防災・減災につなげる ハザードマップの活かし方

昨日・今日とで西日本を中心に今シーズン最強の寒気が入り、大雪・暴風雪に見舞われた地域が出た。特に奄美大島では115年ぶりに雪が観測されると言ったこともあった。この状況が長期に見舞われると「雪害」と呼ばれ、災害となってしまう。

災害と言えば昨年の9月に茨城県常総市で起こった鬼怒川の氾濫などがある。さらに遡ると5年前の東日本大震災があるのだが、それがきっかけとなって全国にハザードマップが認知されるようになった。今となっては国民一人一人がそれぞれの場所に応じたハザードマップがもらえる状況にあるのだが、本書はそのハザードマップとは何か、どのように使っていけば良いのかについて取り上げている。

第1章「ハザードマップをめぐる状況」
ハザードマップは、

「地震・台風・火山噴火などにより発生が予測される被害について,その種類・場所・危険度などを示した地図。災害予測地図」「大辞林 第三版」より)

とあり、広くつくられるようになったのは1995年の阪神・淡路大震災の後である。それから災害リスクを国単位で行われるようになり、様々なシミュレーションが行われたのだが、その中で起こった「想定外」が東日本大震災だった。この震災では科学的な見地で予測していた所とは外れたところで大きな地震が起こったことにより、地震学会も白旗を上げざるを得なかった。
この震災によってハザードマップの広がりを見せている一方で、ハザードマップそのものを不要とする議論もある。

第2章「そもそもハザードマップとは何か」
ハザードマップの定義は第1章の冒頭の中で書いたのでここでは割愛するのだが、本章ではハザードマップができるまでの法律背景、さらにはハザードマップ整備の現状を取り上げている。

第3章「ハザードマップからわかること、わからないこと」
ハザードマップは、津波はもちろんのこと火山噴火・台風・地震などの災害予測、被災予測をシミュレーションされたものをマッピングしたものであるのだが、その中でも津波予測の中で東日本大震災を元に本当に役立てられたのか検証を行っている。
他にも本章では土砂災害・火山災害のハザードマップが取り上げられているのだが、土砂災害であればもしもハザードマップに関する検証が現在進行形でできるとするならば、最初にも取り上げた鬼怒川の氾濫によってハザードマップは訳だったのかどうかも検証する必要がある。

第4章「わかりやすく役に立つハザードマップを目指して」
ハザードマップを目指すものとして「わかりやすく、役に立つ」ものである必要がある。そうでなければ、国民一人一人が理解し利用できなくなり、目標の一つである減災の役に立つことができなくなる。そのためには「誰のために」ハザードマップをつくるべきかを念頭に置き、分かりやすいハザードマップとは何か、そしてどのように使ったら良いのかを提示している。

日本は災害大国と呼ばれているのだが、その災害大国の中で自分自身の命を守るため、そして個人単位で減災をして行くためにハザードマップをつくることは大切なことである。しかし本書で取り上げていくと、そのハザードマップの歴史は浅く、なおかつ本格的に使う機会も少ない。だからでこそ、災害の度に検証を進め、なおかつ第4章にもあるとおり分かりやすく、使いやく、そして役立つハザードマップをつくる事が大事であり、なおかつ私たちもそれをしっかりと使っていく必要がある。