日本とフランス、その2つの国の間で紡がれる物語がある。本書の人物たちは日本人であるのだが、その中でパリに滞在する従妹がいるのだが、無くなり遺品整理のためにパリに渡った主人公が基軸となっている。
日本とフランス、両国の中でどのような物語が紡がれていったのか、そして従妹の死因とはいったい何なのか、そのことをひたすら追っていった作品である。
描写の中で事細かにパリの事情や生活、文化、社会に至るまで著者自身が綿密に取材を続けたこともあって、描けているのかもしれない。そのため細かい描写がミステリーの良さを引き立たせる。
ミステリーならではのハラハラ感よりもむしろ、謎を一つ一つ解くロジックを見ることのできる面白さが本書にある。そのためミステリー作品の中では淡々としているものの、謎解きに集中しているところを見ると、ミステリー好きの中でも謎解きの部分が好きな人にとっては絶好の小説と言える。
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