異常とは何か

正常と異常の狭間とはどこにあるのかという所から考える必要がある。もっとも「正常」と「異常」の狭間自体が人それぞれであり、ある人が「正常」と考える一方で同じように見えて「異常」と感じる人もいる。もっとも「異常」についてどのようなことが「異常」なのか、本書は哲学的な観点よりも「精神医学的」な観点で考察を行っている。

第一章「異常と正常の倒置」
正常と異常はどのような差があるのか、もっとも「異常」と呼ばれるような精神状態について、時代が変わるにつれて、基準も大きく変わってくる。その変わっていく「異常」はどのような時代とともにたどっていたのかも併せて論じている。

第二章「異常と臨床」
精神医学の中での「異常」をどのようにして察知していくのか、そのことを医学や理学などで行われる「臨床」でもってお行われている。

第三章「正常と過剰態としての異常」
異常な状態から正常に戻すために「治療」が必要であるのだが、その方法もカウンセリングや投薬など様々なものがあるのだが、最もオーソドックスな方法としてカウンセリングがある。その中でも家族療法があるのだが、なぜそれができたのか、原理も含めて紹介している。

第四章「正常と異常のトポロジー」
正常と異常とはいったい何なのか、医学的な観点でどのようにして決定していくのか、そのことについて取り上げている。

第五章「社会における異常と正常」
社会においても「正常」と「異常」の差はある。もっとも「異常」と呼ばれる世界として挙げられるのが「戦争」と呼ばれるものであり、その状況下における「異常」から、迫害を受けた状況における「異常」についても取り上げている。

精神医学的な観点における「異常」と言うと、どこからかピンとくるような印象があるのだが、実際の所、人それぞれでありながら、どこからかある「基準」を設けて「正常」と「異常」を判断してしまう。もっともその「基準」のあり方も人それぞれであることを考えるとするならば、「異常」とは何かを考えされられるきっかけとなる。