さよならインターネット – まもなく消えるその「輪郭」について

インターネットの歴史は半世紀程度と浅く、なおかつ現実とは異なるような世界を得ることができるものであったという。そのため著者はその世界を「輪郭」と表しているのだが、そのインターネットを通じて、買い物等が便利となり、最近では家電製品もインターネットに使ういわゆるIoT(internet of things)が出てきたことにより著者自身危機感を覚えているという。そもそもインターネットはどのような定義であり、なおかつあぜ「消える」のか、そのことを取り上げている。

第一章「やさしかったその世界─ユーザーからプラットフォーマーになるまで」
インターネットは小さな世界とも言えた。その世界の中には現実世界では味わえない「非日常」を得ることができるようになった。しかしそのインターネットは広がりを見せるようになり、現実世界にも侵食し始めてきた。

第二章「さよならインターネット─その輪郭を喪失するまで」
そもそも「輪郭」というのは「現実」と「仮想」の区分けにあるのかも知れない。もっとも日常の中でインターネットは欠かせないものとなったのだが、それ故に、インターネットは愛好家だけのものではなく、一般的に受け入れられるようになった。著者はそれをネガティブなものと見ているのかも知れない。

第三章「輪郭が失われた世界─まだそこは信頼に足るものだったのか」
その輪郭が失われ、日常としてあるインターネットはどのようなものなのか、そしてそれは信頼に足るものなのか、そのことを取り上げている。

第四章「インターネットは「社会」の何を変えたか」
インターネットは社会そのものを変えたと言っても過言ではない。もちろん世界的にも経済や政治、さらにはコミュニケーションなどに至るまでありとあらゆるものが「インターネット」を使う、あるいはまかなうようになってきた。

第五章「インターネットは「私たち」の何を変えたか」
ゲームもあれば、コミュニケーションもある。人々とのつながりもまたインターネットによって成り立つようになった。もっともそのインターネットはコミュニケーションのみならず、時間や空間の変化、さらにはビジネスに至るまで行うことができる「場所」にまでなった。いわゆる「プラットフォーム」化である。

第六章「ぼくらはインターネットの輪郭を取り戻せるのだろうか」
しかし著者は非日常と呼ばれるような「輪郭」が必要であるという。もっとも日常化してしまい、なおかつ著者が最も楽しんでいたインターネット空間を作るためにはどうしたら良いのか、そのことを提示している。

もはやインターネットは当たり前の空間になっている。その空間をいかにして利用するかも含めて楽しみであれば楽しみであるのだが、もっともインターネットはどうあるべきなのか、その現状と理想を考える糧となる一冊である。