ケルト 再生の思想――ハロウィンからの生命循環

「ケルト」とは

「紀元前5~前1世紀、ヨーロッパの中部・西部に広く居住した民族。やがてローマの支配下に入り、また、ゲルマンの圧迫により次第に衰退。現在はアイルランド・スコットランド・ウェールズ・ブルターニュなどに散在する。妖精伝説や多くの民話・神話で知られる」「広辞苑 第七版」より)

とある。ヨーロッパやアジアをはじめ、広く活躍をしていたのだが、衰退をしていった。しかしながら歴史と文化、宗教において重要な役割を担ったと言っても過言ではない。そもそもケルト人、及びケルトの歴史や文化、思想とはいったいどこにあるのか。本書ではケルトにまつわる文化を中心に取り上げている。

第一章「「サウィン」と「ハロウィン」冬の祭日―死者を供養する「生命再生」の祭」
今でこそ日本でも浸透している10月末の風物詩である「ハロウィン」。アメリカでは祝日として扱われるほどである。そのハロウィンは死者を供養するための日として定められており、ケルトにて発祥したものである。他にも同時期に行われる「サウィン祭」で有名な「サウィン」の意味も取り上げている。

第二章「「インボルク」春の祭日―聖ブリギッドの「緑の牧場」と「赤い火」」
ケルト民族にとって春を象徴づける祭日が「インボルク」である。女神・ブリギッドの聖日(キリスト教における「祝祭日」のこと)としてあり、バターや牛乳を嗜みながら、ろうそくの火を灯す、あるいは焚き火をして縁起をうかがうといったことを行うという。

第三章「「ベルティネ」夏の祭日―「五月祭の起源」と闇から蘇る森」
今度は夏の祭日は5月に行われ、「ベルティネ」といわれる。言葉としては「五月祭」といった方が通っている。俗に緑の祭と呼ばれており、新緑の季節を祝う、そしてこれから来る夏を祝う慣わしとしてある。少し話が外れるのだが「五月祭」としてはヨーロッパ各国にて催されるのだが、国によっては「ワルプルギスの夜(サバトの夜)」としている。

第四章「「ルーナサ」秋の祭日―穀物の「母神」と「収穫祭」」
第一章から第三章まで冬・春・夏ときたら、今度は「秋」である。秋は様々なものが実り、収穫を迎えることから「収穫祭」と名付けられることが多い。時期としては8月であるのだが、日本では真夏の暑い時期である。その一方でヨーロッパでは秋になるシーズンであるため、8月に行われるのだという。

第五章「『ケルズの書』―四つの季節祭を映し出す「生命循環」のアート」
ケルトの四季を取り上げてきたのだが、それを象徴する一つの書がある。それが「ケルズの書」である。8世紀に製作された聖書の手写本であり、アイルランドにおいては「国宝」として指定されている。世界的にも「世界でもっとも美しい本」といわれるほど、キリスト教において重要な意味を成しているのだが、ケルトの四季においても重要な意味を成しているという。

ケルトの文化を知る上で、四季もまた知るべきことの一つである。しかしその文化の中には宗教があり、民族性もある。その四季は日本のそれとは大きく異なるのは周知の事実であるのだが、どのように「異なる」のか、そのことがよくわかる一冊である。

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