中学生棋士

将棋棋士において中学生に棋士となった人物は歴代で5人いる。本書の著者である谷川浩司、加藤一二三、羽生善治、渡辺明、そして本書で中心になって出ている藤井聡太である。

中学生の間に棋士になった方々は将棋界において多大なる影響を与えた人物ばかりであり、加藤一二三と藤井聡太を除いて永世タイトルを獲得しているほどである。中学生棋士たちの姿はどのようなのか、そして将棋としての才能とかつて中学生棋士として名を馳せた棋士たちの姿を自らも含めて取り上げているのが本書である。

第一章「最年少の新星・藤井聡太」
藤井聡太フィーバーは今もなお止まらない。将棋の対局があれば必ずといってもいいほどトップニュースになり、なおかつ新聞でも取り上げられるほどである。四段昇段になってから異例の勝率をたたきだすだけではなく、様々な側面を取り上げられることがある。本章では藤井聡太が四段に昇段するまでのプロセスと藤井聡太はどのような人物なのか、著者自身の観点から取り上げている。あくまで本章では藤井聡太のパーソナルの部分を取り上げている。

第二章「藤井将棋の強さと凄み」
本章もまた藤井聡太について取り上げているのだが、主に将棋に特化しており、詰め将棋から、連勝までのプロセス、さらにはコンピュータ将棋の利用などにも言及されている。

第三章「将棋の才能とは何か」
もっとも将棋棋士になるまでに奨励会に入るまで、さらにはそこから棋士になるまで、もっと言うとタイトルホルダーになるまでと人数は限られてくる。その中には血のにじむような努力を成すのか、それとも才能の賜物なのか、中学生になって、高校生になって棋士になった方々の違いを取り上げている。

第四章「自分が中学生棋士だったころ」
著者は棋士に志すまでの道のりはあまりにも有名な話である。将棋を覚えたのは兄弟ゲンカを減らすためだったのだが、その兄弟で覚えるようになってからさらに激化したという。弟である著者はトップクラスの棋士になったのだが、一方の兄は東大を経てサラリーマンとなり、アマチュアのトップ棋士になり、タイトルを総なめすることとなった。さらに言うと羽生善治らプロの棋士を平手で破るほどの強さだった。
話がそれたのだが、著者がプロ棋士になるまでのこと、そしてタイトルを獲得するまでのこと綴っている。

第五章「中学生棋士たちの群像―羽生善治、渡辺明、加藤一二三」
著者自身、中学生棋士それぞれと対戦経験を持っている。その棋士たちがどのような道のりを辿っていったのか、さらには棋士として戦っての感想はどうだったのかを取り上げている。

藤井聡太は既に実績を上げつつあるのだが、かつて中学生棋士となった人々は例外なく時代を席巻するトップ棋士にまで成長を遂げたのか、はたして藤井聡太はどのようなトップ棋士の姿になるのか、著者自身も期待を込めている。