スマホゲーム依存症

私自身はハッキリと言うが、活字・読書依存症である。もっとも活字や本がないと生きていけないほどであり、生活にも支障をきたすほどである。ちなみにスマホゲームはというと関心がないため、本書のタイトルには罹患していない。

本書のタイトルを見て、かつて「ゲーム脳」という言葉を思い出した。これに関しては私自身批判的であり、ゲームにしても読書にしても、「ゲーム脳」のようなこと、あるいは「依存症」は存在している。もっとも読書にしても、17~18世紀のヨーロッパにおける庶民階級によって依存症として批判の的になったこともある。それが「スマホ」に転じていると思ったのだが、そもそもスマホゲームは細かい点で異なる部分がある。ではその原因と対処法とは何か、そのことを取り上げている。

第1章「なぜ、スマホゲームにはまるのか?」
スマホの場合は他のゲームとは違い、日常で使うスマホからゲームをすると言うものである。移動中や暇なときの「暇つぶし」に使うことができ、それがやがてハマることによって依存症になっていき、生活に支障をきたすという。

第2章「スマホゲームの特徴を知る」
しかもその「スマホゲーム」は時間だけを浪費するばかりでなく、「課金」と呼ばれるゲーム内で料金を支払うことによってアイテムやガチャを手にするといった金銭的な「浪費」も存在する。

第3章「ゲーム依存の診断ガイドラインとスクリーニングツール」
話は変わるのだが著者は精神科医であり、独立行政法人国立病院機構久里浜医療センターの院長を務めている。実はこの久里浜医療センターは依存症治療で有名であり、最近では「ネット依存症部門(TIAR)」も作られるようになった。その部門ではスマホゲーム依存症の診断から治療に至るまでも行っている。その診断ガイドラインと依存症を診断するためのツールを紹介している。

第4章「スマホゲーム依存の脳の中で何が起きているのか?」
脳の活動は様々なバランスでもって活動をしている。しかしながら、スマホゲーはスキマ時間から、だんだんとハマっていき、依存症になっていくことによって脳としての活動を破壊するのだという。

第5章「依存かな?と思ったらすぐに始めること」
スマホゲーム依存症はなかなか依存かと気づくことができない。もしもあなたが依存症に気付くことができたのであれば、プレー時間をモニタリングをするといったことを行っていくと良いと言う。スマホのアプリも多岐にわたっており、ゲーム時間を記録するアプリも存在する。本症ではあくまで感想を紙に書くことを推奨しているのだが、最近では利用制限をできるようなフィルターアプリまであるため、親御さんであれば知ったり利用してみても損はない。

第6章「スマホゲーム依存を治療する」
依存症患者に対してどのようにして治療を進めたら良いのか分からない方々も少なくないことだろう。本章では医療センターが行っている治療法も絡めながら、家庭でできる治療法を伝授している。

第7章「スマホゲーム依存に悩む家族へのアドバイス」
スマホゲーム依存症に悩むのは本人ばかりでなく、その周囲として家族がいる。その家族に対して、どのように振る舞ったらよいか、そのことについて本章にてアドバイスをしている。

スマホゲーム依存症は今まである依存症とは内容が異なるのかもしれない。しかしスマホゲームに限らず、全てのゲームを「悪」と捉えるのは早計であり、なおかつ程度は違えど依存症も全て「悪」と捉えることもまた総計である。私のように長年活字依存症であるのだが、生活に支障をきたすことがなかった。色々と目を向けてみるとゲームにしても最近では一種の「スポーツ」として捉えられることもあった。生活に支障をきたすのであれば治療の必要はあるのだが、そうしないまでにハマるにはどうしたら良いかといった本もあった方が良いのではと本書を読んで思った。