うわさとは何か – ネットで変容する「最も古いメディア」

「人の噂も七十五日」という諺がある。それはうわさがあったとしても最大で75日経てば消える、つまりは長続きしないと言うものであるのだが、最近ではネット広がりを見せており、75日はおろか、1年以上続くようなこともあるため、この諺は死語になりつつあるのかもしれない。

それは置いといて、うわさは様々な所で影響を及ぼすのだが、そこにもまた「歴史」とともに変化をしている。本書はそのうわさの影響力と要因、そして変化を取り上げている。

第1章「うわさの影響力」
うわさにも色々な種類があるのだが、中でも社会現象にまでなったものも少なくない。特に有名なものとしては昭和48年に起こった「第1次オイルショック」における「トイレットペーパー騒動」「洗剤騒動」がある。物資不足のうわさが流れたことにより、買い占め騒動が発生したことによるものである。時としてうわさは根も葉もない根拠から不安を煽り、それが拡散されていき、ニュースにまでなっていく、そしてそれが社会に影響を及ぼすこともある。

第2章「うわさを考える―「古典」を繙(ひもと)く」
この「うわさ」自体は今も昔も起こっており、今のようにインターネットが全くなかった頃でも存在した。第1章のオイルショックにおける騒動もまた然りである。ましてや新聞でさえも出ていなかった時代でもなお存在していたのだが、本章ではそのうわさの根源について古典と共に取り上げている。

第3章「都市伝説の一世風靡―1980~90年代」
「都市伝説」というと元々お笑いコンビのハローバイバイのメンバーであった関暁夫のものがイメージとして残る。というのも関暁夫の都市伝説テラーは2000年代後半からブームとなり、そこから「都市伝説ブーム」のリバイバルとして名を馳せたほどである。
本書はそれよりも遙か前にブームの起こった1980~90年代において、どのようなものがあったのかも含めて取り上げている。

第4章「人と人をつなぐうわさ・おしゃべり」
そもそも「うわさ」は決して悪い側面ばかりではない。人との繋がりとして「接着剤」の役割も担っているほどである。その役割とはどのようにしてになっているのか、その原理を紐解いている。

第5章「メディアとの関係―ネットとケータイの普及のなかで」
メディアはある種のラウドスピーカー(拡声器)の役割を担っている。しかしその役割をうわさを通じて拡散されるといった側面も持っている。それがネットやケータイの普及によって、一種の「メディア」として形成づけることにもなった。

第6章「ネット社会のうわさ―2010年代の光景」
メールやSNSなどによりうわさは色々な広がりを見せている。私の印象深いものとして2011年に起こった「東日本大震災」における「ヤシマ作戦」である。これは「新世紀エヴァンゲリオン」における作戦の一つであり、攻撃が日本全国を停電させるほどの大規模な作戦であることからつけられている。もっとも東日本大震災における節電の呼びかけとして使われたのだが、結局の所自己満足と批判されることとなった。それに限らずとも、様々な面でネット社会ではうわさが「拡散」するようなことがあり、それがうわさとして広がっている現状もある。

うわさは偽の情報を流すと言った側面ばかり見られるかもしれないのだが、他にも「人をつなぐ物語」としての側面を担っている。そのため「うわさ」は根も葉もない一方で、人間関係における重要な役割の一つとしてあることも忘れてはならない。

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