あなたのいるところが仕事場になる

ここ最近「テレワーク」と言う言葉をよく聞くのだが、元を辿ってみると1970年代にアメリカにて大気汚染緩和を目的としてはじめられたとされている。日本では2000年代にテレワークの推進をはじめていたのだが、ここ最近活発化された。その要因としては7月~8月にかけて東京オリンピックが開催され、混雑が予想される。それを回避するために奨励されている。

テレワークにも一長一短があるのだが、そもそもテレワーク社会は到来するのか、そして成功と失敗はどこで判断されるのか、テレワークにつながる労働における悩みと導入事例、そして成功するまでの過程など、テレワークにまつわる可能性を紐解いている。

1章「「働く」にまつわる悩み」
今となっては首都圏の一極集中がますます広がっている。経済的なスピードが速くなるおいうメリットがあるのだが、通勤でも満員電車によるストレスが増大し、さらには地震や台風におけるリスクが生じたときのヘッジ(分散)がきかなくなるといった側面もある。特に満員電車などの通勤地獄が蝕ませる要因にもなっており、著者自身も首都圏の勤務から佐賀県に移ったときに通勤地獄から解放されたこと体験を明かしている。

2章「テレワーク社会の到来」
そもそも「テレワーク」は「tele(離れた所)」と「work(働く)」を組み合わせて作った造語であり、場所・時間に縛られることなく働くことができることを意味している。メリットとしても生産性を向上させるなどの効果があるのだが、管理がしにくい、あるいは長時間労働の温床になるといったリスクも存在する。

3章「「働く」の概念を一変させた3つの先進的な組織」
テレワークを先行導入をした企業はいくつか存在するのだが、その中で成功した事例を3例紹介している。その事例の中には県庁もあり、官民問わずに行うことができる事例とも言える。

4章「「地方」「企業」「働き手」すべてにメリットをもたらすテレワークの可能性」
働くことを地方で行うといったことにより、本章のタイトルにある3つの側からメリットをもたらす可能性があるという。他にもテレワークスポットとしてコワーキングスペースやシェアオフィスといったスポットも次々と出てきているのもテレワークの可能性として存在する。

5章「テレワーク成功の処方箋」
テレワークに限らず、事業を行うにしても「目的」の明確化が必要であり、行うことで何をなし得るのか、そして体制はどのようにして行っていくのかなどの準備が必要となる。その準備を行い、いざ実行に移すにしても、その後の運用や評価によって改善すべき所が見えてくる。特にテレワークについては業務形態が変わるため、多くの面で改革を行っていく必要がある。

6章「未来の「働く」は、地域社会で始まっている」
テレワークの推進は何も国ばかりではない。地方でもテレワークを行う人材を集める、あるいは起業支援を行うなどの取り組みを行っている。「働く」ことの改革は地方から始まっているという。

テレワークの動きは活発化している。そのメリットと地域との関係がよくわかる一冊である。その一方でテレワークに関しては批判的な動きがあり、企業によっては元々テレワークを行っていたものを廃止する動きもある。それは「コミュニケーション」、それもリアルで人と会うことが欠けてしまったことにより、逆に業績が悪くなったケースもあるという。そのケースを超えて、テレワークを成功に結びつけるにはどうしたら良いかを考える一冊とも言える。