認知症フレンドリー社会

認知症はかつて「ぼけ」や「痴呆」といった言葉が使われたのだが、それが差別用語にもなり、現在ではその名に落ち着いている。WHOの2012年統計では全世界で3560万人いるほどで、日本では2018年現在では500万人を超えているという。

しかもその認知症の根治法はまだ見つかっておらず、患者やその周囲の人びとともずっと付き合っていく必要のある病気の一つとしても挙げられる。現時点でも研究は行われているのだが、難航している現実もある。

その認知症に対して対策をして行く必要があるのだが、本書では「対処」ではなく「フレンドリー」として認知症と付き合っていく方法を提示している。

1.「認知症500万人時代のもつ意味」
冒頭でも述べたのだが現在日本では500万人以上の認知症患者を抱えているという。それについて日本では医学的な研究、さらには治療、そして社会的な「認知」などの観点からどのようにして認知症と付き合っていけば良いのかを模索している。今までは認知症と診断されたら「隔離」されるようなことがあり、「精神病院」があたかも差別の如く使われることがあったのだが今となっては5.にて取り上げるのだが、認知症に対しての付き合い方も変わってきている。

2.「認知症対処社会と認知症フレンドリー社会」
前者は認知症に対して治療やケアなどの対策を持つことがあるのだが、後者の場合は認知症にも優しい社会システムにして行くと言うものである。2つの要素はそれぞれ異なっているのだが、細かい点でどのように異なり、なおかつシステム作りをして行くのか、そのことについて取り上げている。

3.「認知症をとりまく本当の課題」
かつては差別の温床としてあったものの、最近では認知症に対してどのように付き合っていけば良いのかを考えられるようになった。しかしながらそれでもまだ課題は残っている。その課題の中には未だに残っている風潮や問題意識などがあるのだという。

4.「英国の挑戦」
認知症フレンドリー社会に限りなく近づいている事例としてイギリスがあるのだという。認知症に対してどのようなアクションを行っていくのか、自治体などの組織単位にて対策が行われているのだという。

5.「日本の挑戦」
日本でも市町村単位や地域単位ではあるものの、認知症フレンドリー社会の対策が行われている。もちろん国でもミクロではあるものの厚生労働省にて「新オレンジプラン」ができ、「認知症カフェ(オレンジカフェ)」として認知症を抱える方々の憩いの場を設けられるようになった。また今年の6月に取り上げた「注文をまちがえる料理店」では、認知症の方々が店員として働くレストランも出てくるなど、認知症に対してやさしい社会づくりも進んでいる。

6.「これからの社会を考えるヒント」
これからの社会にて認知症との付き合い方をどのようにしたら良いのか、そのことを考える必要がある。

かつては差別の対象でありながら、未だに残っているものの、国内外にて認知症に対する考え方が変わり、どのように付き合っていけば良いのかを模索し始めている。それは日本も同じ事であり、日進月歩ながらも取り組みは進んでいる。しかしながら、まだ発展途上であることは確かである。これからどのように接していけば良いのか、国・地域のみならず、私たち個人単位でも考えていくべき事なのかもしれない。

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